「人は見かけによらぬもの」
人間の価値基準として「外見」を重視する考え方を「ルッキズム」といいます。日本語では「外見至上主義」、時に「外見差別」ということもあります。それは、見た目で他者を判断したり、容姿を理由に差別したりするなどの人権侵害につながる危うさをはらんでいるからです。東京五輪開会式の演出統括役が女性タレントの容姿を侮辱したことから辞任に至った例は記憶に新しいところです。
「やせ型=美しさ」という情報が幅を利かせていた時代、体型を気にしてダイエットをしすぎた結果、摂食障害となってしまったなど健康を損なう例もありました。
内閣府が発表した「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成30年度)」では、日本に住む若者のうち若い世代の半数以上(54・2%)の人が、体つきや身だしなみなど、容姿のことが心配であると回答しており、ルッキズムが社会の中に浸透していることがわかります。
ルッキズムが主流になると、その価値観に沿った外観に当てはまらない人が、外見を理由に日常生活で差別を受けたり、偏見の目にさらされたりするようになります。これは、お互いに人格と多様な個性を尊重し合おうという「人権尊重」の考え方とは、相容れません。
「人は違っていて当たり前」見た目の多様性を受け入れ寛容であることこそが重視されるべきです。「人は見かけによらぬもの」ということわざがあります。「人は、外見とは違った意外な一面を持ち合わせており、見た目だけでその人を判断することはできない」という意味です。良い悪いどちらにも使われる言葉ですが、人の価値を見かけだけで判断することの危うさを戒めた教えとして、日常生活の中に活かしていきたいものです。
(社会人権・同和教育指導員)
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