■「支え合いともに生きる」
コロナ禍も落ち着き、地域では会合や催しが行われるようになり、出前講座の機会も増えてきました。「人権」というと「何か難しい話」と思われがちですが「相手を想う気持ちを大切にすること」そして「自分の気持ちも大切にすること」を中心に据えて話をしています。さまざまな意見をいただきながら過ごす時間は、私にとっても学びの場となっています。
ある老人クラブの例会にお邪魔した時のことです。開会の30分前には、もうすでに会場は整えられていました。それでも、例会が始まる直前までみんながそれぞれに、自分にできることをされていました。お茶を出す人、資料を配る人、中でも印象深かったのは、まだ会場に姿が見えないAさんに気づいた人が、迎えに行かれたことです。そこには、優しさと助け合いの気持ちがあふれていました。雰囲気は、周りにも伝わります。参加されていたみなさんは、その後も終始笑顔で過ごされていました。
近年、近所にどんな人が住んでいるのか知らないなど、人と人とのつながりが薄れつつあります。人との関わり方が変化している時代だからこそ、今を生きる私たちが、相手の気持ちに寄り添うことを忘れず、認め合い、支え合うことが大切です。老人クラブ会員のみなさんの行動は、まさに「ともに生きる」そのものでした。
社会教育指導員 野中久美子(のなかくみこ)
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