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自治体の皆さまへ

【特集】住み慣れた地域で安心してくらせるまちをめざして(2)

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兵庫県丹波市

■近所付き合いといざという時のツールを作成
3月に地域の課題をまとめた「芦田支え合い推進計画」を策定。計画をもとに活動を進め、10月には芦田地区独自の「あんしんカード」を作成し全戸配布。作成の経緯や思いなどを取材しました。
・芦田地区自治振興会 会長 足立秀一(しゅういち)さん
・芦田地域支え合い推進会議 委員長 田中和明(かずあき)さん

◇あんしんカードでご近所さんとコミュニケーションを
私たちは「あんしんカード」を作成し、全戸配布しました。カードの特徴は、家族の連絡先だけでなく、近所や友人、親戚など緊急時の連絡先を記入する欄を設けているところです。日頃は互いのプライバシーに干渉し過ぎず配慮しながらも、いざという時はご近所さんと声を掛けあって共に助け合うといったコミュニケーションをとれるようにという思いを込めています。

◇「自助(じじょ)・共助(きょうじょ)・公助(こうじょ)」そして「近助(きんじょ)」を大切に」
近所に息子さんと高齢のお母さんの2人で暮らす家がありました。息子さんの姿が2、3日見えず、家を訪ねると、息子さんが亡くなられ、お母さんも倒れているのを発見し、すぐに救急車を呼んだものの、亡くなってしまったという悲しい出来事が私の周りで起きました。こうした経験から、日ごろの近所付き合いや、いざという時にどこに連絡すべきかというのが明確になったものがあればと思ったことが「あんしんカード」をつくることになったきっかけです。「自助(じじょ)・共助(きょうじょ)・公助(こうじょ)」という言葉がありますが、私たちはそこに「近助(きんじょ)」を加え、近所同士で助け合うことも大切にしたいと思っています。あんしんカードの空欄を埋めていく過程で「なんかあったときは頼むじょ」といったコミュニケーションが生まれることを期待しています。

◇まずはあいさつから
芦田小学校が閉校し、地域の小学生はバス通学になるなど、コミュニケーションをとる機会は昔と比べてずいぶんと減りました。そこで足立秀一さんは、毎朝ウォーキングをし、すれ違う人には必ずあいさつをするようにしています。「あいさつを避けるためか、はじめは私の顔を見ると歩くコースを変えていたような人も今は笑顔で返してくれます。私が来るのを待ってくれているのかもしれないですね(笑)。近所付き合いを深めていくためにはまずはあいさつだと思っています。こうしたコミュニケーションはこれからも続けていきたいです」

■世代や業種の枠を越え「きになるマップ」を製作
中央地区自治振興会では、中央地区「和(なごみ)」サポート会議を開催し、地域内にある危険箇所について、たくさんの人から持ち寄った情報を1つのマップにまとめた「きになるマップ」を製作しています。来年3月の完成に向けて取り組む様子を取材しました。
・中央地区自治振興会 地域コミュニティ活動推進員 田中優子(ゆうこ)さん
・中央地区自治振興会 副会長 小南慎一(しんいち)さん

◇「きになるマップ」に込めた思い
「きになるマップ」には「気になる」だけではなく「危になる(危険な所がある)」「樹になる(大樹になる)」という意味があります。この地図は地域の人たちからのたくさんの気になる情報が幹となり、枝葉を付け、花を咲かす地域を支える立派な大樹のようになって欲しいという思いを込めています。また、マップを通して危険箇所でけでなく、他者のことも気にかけあう、そんな地域になって欲しいです。

◇集められた約80の危険箇所情報
マップを製作することが決まったのは昨年の6月に行われた定例会でした。障がいのある委員から「地域内の道路で白線が消えかかっている箇所があり、弱視の方が溝に落ちるのを見た」という報告を受けたことがきっかけでした。「地域に住む人がみんなで危険箇所を把握することは大切」との思いから、マップの製作には老人会やPTA、地域内を走行する運送会社など、地域全体を巻き込んだ聞き取り活動などを行い、情報収集をしました。また、夏休みには中央小学校の児童たちが宿題の一環として地域内の危険箇所を調査し、まとめたものを提出してもらいました。地域ぐるみで取り組んだ結果、約80の危険箇所情報が寄せられました。

◇情報は何度も更新し磨き上げる
集まってきた情報には、重複しているものや、不明な箇所などもあり、これから改めて聞き取りや現地確認をし、情報を整理していく必要があります。
現代は外国人の方との共存など、多様性の時代です。刻一刻と変化する時代に応じて「きになるマップ」を磨き上げていきたいと思います。

■シミュレーションゲームで日頃のつながりを考える
柏原地域支えあい推進会議では、情報共有シミュレーションゲームを作成し、柏原地域だけでなく生郷や吉見など市内各地で紹介、実践し、市内の支えあい推進にも貢献。作成の経緯や思いなどを取材しました。
・柏原地域支えあい推進会議 委員長 田中義人(よしと)さん

◇情報共有を主としたシミュレーションゲーム
シミュレーションゲームの内容は一人暮らしの高齢者やひきこもり、外国人、認知症の人など、様々な人が暮らす将来の仮想地域「柏原自治会」で災害が発生し、住民全員の安否確認とアクシデントへの対応に情報共有を駆使し、制限時間内に進めていくものです。
神戸市消防局職員が開発したカードゲーム型の防災訓練教材「ダイレクトロード」から着想を得て、災害色の強い内容から地域の支えあいや情報共有を主とした内容に置き換え、柏原地域版として独自に作成しました。

◇コミュニケーションの機会に
シミュレーションゲームはあくまで協議のきっかけづくりだと思っています。仮想地域である柏原自治会と比較した場合、自身の地域は災害時どのような対応をとるのか、また平時からどのような取り組みが必要かを考え、コミュニケーションをとるきっかけになればと期待しています。

◇情報共有で地域の支えあいを広げる
地域の支えあいを考えていく中で、支援が必要な人についての情報がなければ、地域で助け合うことは困難です。「○○さんはこの日、グラウンドゴルフに行っている」「〇曜日はデイサービスで家にいない」など互いに生活レベルの情報を知っていることが大切です。ゲームで使用するカードにもそうした要素を盛り込んでいます。
人口減少や社会変化が著しい中、10年、20年後の姿を想像したときに、今ある介護をはじめとした様々なサービスがちゃんとあるかなと不安になることがあります。これからも地域が日頃のつながりを大切にし、現状や今後のことをを正しく理解して、一人ひとりの行動につながるよう活動を推進していきたいと思います。

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