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歴史探訪 シリーズまちかど文化財

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兵庫県丹波市

■青垣町東芦田の子安地蔵像
丹波市文化財保護審議会委員 山内順子

青垣町東芦田の瑞雲寺(ずいうんじ)に向かう道と集落を貫く道が交わる辻のお堂に一体の子安地蔵像(じこやすぞうぞう)が祀られています。地元の人たちが、子どもたちの健やかな成長や、道を行きかう人々の安全を願って大切にしてきた仏像です。
先日、この地蔵像を間近で撮影したところ、新たな発見がありました。蓮(はす)の花びらをかたどった蓮華台座(れんげだいざ)部分に、銘(めい)が刻まれていることに気づいたのです。銘には、「天保(てんぽう)十一年十月二十三日」「丹波国氷上郡柿芝村(かきしばむら)住人御鋳物師(おんいもじ)足立與左衛門藤原家好(よざえもんふじわらのいえよし)足立半右衛門藤原家次(はんえもんふじわらのいえつぐ)」とあります。江戸時代後期である1840年に奉納され、柿芝村(現在の氷上町)に住んでいた二人の職人が作ったことがわかります。
広報たんば令和5年12月号で、青蓮寺(しょうれんじ)の半鐘(はんしょう)について記した際に述べたとおり、柿芝村には銅を鋳造(ちゅうぞう)する技術を持った職人たちが住み、多くの製品を生産していたことはわかっていました。ただし、これまで見つかっている製品は、梵鐘(ぼんしょう)や半鐘などの道具類だけでした。
ところが今回、仏像も製作していたことが判明したのです。しかも、幼子を優しく膝(ひざ)に抱いた地蔵像です。穏やかでありながらも凛(りん)としたその表情は、技術の素晴らしさだけでなく、仏像に対する作者の深い理解を物語っています。

問合せ:社会教育・文化財課(山南庁舎内)
【電話】70-0819

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