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自治体の皆さまへ

特集:気付きや声かけでも変えられる みんなに心地いいまちへ

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兵庫県加古川市

※この記事に関連したSDGs項目は、3番・10番

「障害者差別解消法」が改正され、4月から、障がいがある人への合理的配慮の提供が事業者に義務付けられました。

■合理的配慮(ごうりてきはいりょ)って?
障がいがある人の困り事に対して、周囲の人が対話などをしながら環境を整えたり解決法を考えたりすること。

環境の整備 多くの人に対応 × 対話や工夫 個々に合わせた対応

◇「合理的配慮」を行うための3つのプロセス
STEP1 要望
当事者 不自由に感じている人が、してほしいことを事業者に伝える。
事業者 会話や様子などから気付くこともある。

STEP2 対話
当事者 どんなときに困るか、どうしたら快適になるかなどを具体化する。
事業者 解決が難しい場合はなぜ難しいかを明確にし、他に対応ができないか考える。

STEP3 実施
事業者 改修、用具の導入、配置替え、声かけなど、できる範囲で対応する。

当事者 車椅子のまま入店できますか?
事業者 入り口に段差がありますが、店内は車椅子が通れる広さがあります。店内は一人でも移動できますか?
当事者 店内は一人で見て回れます。
事業者 では入口に呼び出しベルを用意します。来店されたらスタッフを呼んでください。入店をお手伝いします。
当事者 ありがとうございます!

どちらか一方の意見ではなく、一緒に解決方法を探してみましょう!

◇CASE 1
飲食店 松原 秀和さん
外食を、出かけるきっかけにしてほしい

STEP1 要望
当店は先代からの常連さんも多来られます。お客さんの高齢化もあり、入口や通路の段差、和式トイレ、座敷など、使いづらそうな場所があるなと感じるようになっていました。実際に「洋式トイレの家が多くなっているし、これから使いづらいと思う人が増えるだろうね」という声も聞きました。

STEP2 対話
障がいがある人や高齢で体が不自由になってきた人は、周りに迷惑がかかることを心配して意見を言いづらいことも多いようです。常連さんとは普段からさまざまな話をしているので、率直な意見を聞けます。その中で、和式トイレでバランスを崩して転んでしまった人の話や、ストーマ装具を付けていて和式トイレが使いづらいという話を聞きました。また近隣の店同士でも、世代に関わらず和式トイレが使えないお客さんが増えてきている、などと話すようになってきました。

STEP3 実施
お客さんには楽しく快適な時間を過ごしてほしい。そんな思いも強く、トイレを洋式化することにしました。またトイレの入口を引き戸にして車椅子でも入りやすくし、壁に手すりも付けました。お客さんからは「使いやすくなった」と、とても喜んでもらえました。
その後、座敷をテーブルにし、床の段差も改修しました。お金がかかりますから、改修はできる範囲で行い、足りない部分は、例えば車椅子を押すなど私が手伝います。お客さんには笑顔でいてほしいから、これからも積極的に意見を聞いていきたいですね。

・POINT
1.座敷をテーブル席に改装。車椅子のまま利用できる
2.手すりをつけ洋式にしたトイレ。入口も引き戸に変更
3.点字メニューを用意。会話をしながら説明することもある

◇CASE 2
歯科医院 夏木 新二先生
安心して来院してほしい

入口のスロープは当初からありましたが、あるとき患者さんがスロープの脇から落ちてしまったことがあり、市の助成を活用し手すりを付けました。落下防止だけでなく、歩行者にも使ってもらえるようになりました。
移動が大変な方には医院の車椅子を使ってもらうこともあります。車椅子のまま治療することもあるんですよ。患者さんに合わせた対応をしたいですね。お店や施設に安心して利用できる場所が増えていけば、過ごしやすいまちにつながっていくと思います。

・POINT
1.落下防止で設置した手すりが歩行者の安心につながった
2.必要に応じて出し入れできる簡易スロープ

◇CASE 3
飲食店 増田 治美さん・岡 ひろみさん
「また来たい」と思ってもらえる場所作り

お店には、大きな手術を経験した方や足が不自由な方も来られます。普段からお客さんとよく話をしながら、困っていることはないか気にかけています。
以前、手押し車で来られた方が入口の段差に苦労されていたのを見て、スロープに改修しました。「人の世話にならずに済む」と言ってもらえ、自分でしたいという気持ちの後押しができたと感じました。
皆さんの楽しそうな姿を見て私たちも元気をもらっています。これからもみんなが楽しめる場所を作り続けていきたいです。

・POINT
ルーペや呼び出しボタン、杖ホルダーなどの小物は、用意しやすく出し入れも簡単

■すぐできることも!こんなことも合理的配慮の1つです
◇表現方法を変える
・視覚障害 聴覚障害 知的障害・精神障害
筆談・読み上げ・手話・ジェスチャーなど、伝わりやすい方法を考えてみましょう。

◇声かけをする
・みんなに
声をかける際は、驚かさないように正面からにしましょう。

◇商品の並び替え
・肢体不自由
高い場所にある商品を代わりに取ったり、低い場所に移動したりと工夫してみましょう。

◇通路を広くする
・視覚障害 肢体不自由
棚や机を移動させるなど、通路幅を確保することで、通行しやすくなります。

◇フォントを変える
・視覚障害 知的障害・精神障害
読みやすいUDフォントに変えたり、文字サイズを大きくしたりすると、分かりやすくなります。

■こんな工夫をしています 市内事業者の皆さんに、実際に行っていることを聞きました!
口の動きが見えるように、マスクをフェイスガードに着け変えます。話すときは低めの声で、ゆっくりを心がけています。

ヘアカットする時にバリカンの音が苦手な方がいたので、ハサミでゆっくり切るようにしました。

手押し車を用意し、歩行がしづらそうな方には使用されるか声をかけています。

■取り組みをサポート
市内の事業者に、合理的配慮のための費用を一部助成します。

◇物品の購入
筆談ボード、簡易スロープ、置き型手すりなど

◇工事の施工
スロープ、多機能トイレ、引き戸など

◇NEW 社内研修
講師などの派遣費用、テキスト・教材費、施設使用料など

くわしくはこちら(※本紙参照)

問い合わせ:障がい者支援課
【電話】427-9372

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