多可町長 吉田 一四
■山田錦を日本農業遺産へ
今年も秋の稲刈りシーズンが到来し、各農家では稲の出荷作業に多忙な時期となりました。
今年の山田錦は例年より早い登熟傾向が見られ、温暖化の影響を感じるところです。
全国的に自然災害の報道がされる中、多可町の水稲農業については、比較的穏やかな天候に恵まれ、順調な品質と収量が確保される見込みとなっています。
多可町は山田錦の母方の品種である「山田穂」発祥の地です。農家の皆さんは、発祥の地としてのプライドを持って生産に当たっておられます。
その代表的な施策が「村米制度」です。集落や地区単位と酒蔵が直接結ばれ、緊密に繋がることで、酒蔵にとっては、安定した品質の山田錦を確実に一定量確保でき、農家にとっては、1年間かけて一生懸命生産した山田錦を、正当な価格で買い取ってもらえるという相互メリットがあります。
また、兵庫県やみのり農業協同組合も山田錦の生産向上と、PRに尽力されており、今年は「日本農業遺産」への登録を目指して取り組んでいます。
「日本農業遺産」は、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、農業生物多様性などが一体となった重要な伝統的農林水産業を営む地域であることを、農林水産大臣から認定される制度です。
県内では「美方地方の但馬牛・丹波の黒大豆・南淡路のタマネギ」が認証されています。国の書類審査(1次審査)は通過しており、今後は産地視察などを経て、来年1月に結果が出る予定です。
この認証を追い風に、「兵庫県産山田錦」「SDGs山田錦」として全国展開し、生産拡大や、新たな村米制度を創設していきたいと思っています。
お酒のボトルを手にする際には、ぜひ裏面の「能書き」をご覧いただき、多可町と縁のある山田錦のお酒を選んでもらえると幸いです。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>