◆投資・財政計画
▽更新需要
町の水道資産(構造物・設備、管路)を更新していくために必要な費用(更新需要)について、見通しは次のとおりです。構造物・設備については、特に老原浄水場の設備の更新に多額の費用が必要となります。管路については、2030年代から2060年代にかけて、多くの配水支管が更新時期を迎えるため、多額の費用が必要となる見通しです。
構造物・設備および管路を合わせると、今後の更新需要(投資額)は100年間で約360億円と見込まれます。特に、多くの配水支管が更新時期を迎える2040年代後半には、1年あたり10億円近くの費用が必要です。
●構造物・設備+管路の更新需要(1年あたり)
▽財政計画
〈検討方針〉
更新需要をもとに、料金据置案(水道料金の改定を行わない)と収支均衡案(水道料金の改定を行う)の2つのパターンで財政シミュレーションを行いました。
〈財政シミュレーション結果〉
給水人口の減少などにより水道料金収入が減少する中、施設・管路を更新するためには、10年間(2033(令和15)年度まで)で毎年2億円~3.5億円(建設改良費のみ)を支出する必要があります。料金据置案では施設・管路更新に必要な財源を確保できず資金不足(損益が赤字、資金残高が給水収益を下回る)となり、事業継続が困難となる見込みのため、収支均衡案などにより財源を確保する必要があります。
〈今後10年間の財政見通し〉
○給水収益(料金収入)
・料金据置案の場合、損益がマイナス(赤字)で推移します。
・収支均衡案では、2025(令和7)年度と2030(令和12)年度に水道料金の改定を行った場合、施設・管路の更新などを実施するための資金を確保できます。
●供給単価(円 /立方メートル)
○資金残高
・短期の資金繰りや予期しない事故などにも対応できるよう、運転資金の確保が必要です。
・料金据置案では、資金残高は減少を続け、2032(令和14)年度頃には給水収益の1年分を下回り(資金残高対給水収益比率が100%未満)十分な運転資金となりません。
・収支均衡案では、水道料金の改定状況に応じて給水収益の約170~240%を持続的に確保することができます。
●資金残高(億円)
○収益的収支・損益
・収益的支出は給水サービスに必要な人件費、支払利息などで、収益的収入は料金などの給水収益、受取利息などです。
・収支均衡案では料金改定時に収益が改善し、損益がプラス(黒字)となり経営を維持できる見込みです。
○資本的収支
・資本的支出は建設改良費や企業債(借入金)の償還金、資本的収入は企業債や補助金などです。
・資本的支出に対して資本的収入は不足(資本的収支不足額)しますが、この不足分に対しては給水収益を原資とする内部留保資金を充当します。
●資金残高対給水収益比率(%)
●収益的収支、損失(億円)
●資本的収支(億円)
▽まとめ
財政シミュレーションの結果をもとに、今後10年間の投資・財政計画(収支均衡案の総括表)を策定しました。
施設の統廃合を行うことで更新が必要な施設や設備の削減などに取り組んでいますが、今後の更新需要に備えて、料金改定を含む財源の確保が必要となります。
水道事業を安全・安定的に持続するため、経費の節減や事業の効率化に努め、水道ビジョンの将来像実現に向けた取組を推進するものとします。
●投資・財政計画(収支均衡案の総括表)
◆計画の進捗管理
水道事業の将来像・目標の実現に向けた施策や取組を推進するため、「PDCAサイクル」による進捗管理を行います。特に経営の健全性・効率性や施設老朽化の状況などについては、毎年度公表する経営比較分析表などを用いてチェックします。
また、概ね5年後には、取組の進捗や重点施策目標の達成状況などを検証し、必要に応じた計画の見直しを図るものとします。さらに10年後には、水道事業を取り巻く環境や財政事情、「太子町総合計画」などの上位計画の内容、住民ニーズなどが大きく変化していると考えられることから全面的に見直すものとします。
問い合わせ:上下水道事業所
【電話】277-3241
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