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〔特集〕三つの視点で知る郷土館の魅力(1)

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兵庫県川西市

10月12日(土) 旧平安邸見学再開

令和5年10月から行った耐震補強などの改修を終え、10月12日(土)から見学受け入れを再開する郷土館の旧平安邸(ひらやすてい)。郷土館は歴史的にも建造物としても価値が高い施設である他、多くの催しが行われています。今回の特集では市民の皆さんにも意外と知られていない、その魅力を構造・歴史・催しの三つの視点で紹介します。

開館時間:午前10時―午後4時半(入館は4時まで)
休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)・年末年始
入館料:19歳以上300円、18歳以下150円。
小・中学生はひょうごっ子ココロンカード提示で無料。
高齢者・障がい者(介護者1人も)・団体は割引あり

■構造 技士が語る旧平安邸
郷土館は国登録有形文化財の旧平安邸・旧平賀邸などからなる施設です。旧平安邸は県の景観形成重要建造物に、旧平賀邸はひょうごの近代住宅100選に選ばれています。
旧平安邸の改修は、飛鳥時代創業の世界最古の企業で、四天王寺の再建工事や国宝住吉大社本殿の保存修理を手掛けた(株)金剛組が行いました。
旧平安邸は、この地方の伝統的民家の特徴と明治以降広まった数寄屋(すきや)風※の造りに加え、厚さが一様でない大きな手作りのガラス窓や浴室・洗面所のタイルなど、技術的革新と近代性を備えた和洋折衷の建造物です。その構造の価値を(株)金剛組技士の橋口さんに語ってもらいました。

※数寄屋(すきや)風…自然の素材を生かして随所に意匠を凝らした造りで、質素で洗練された趣向が特徴

◆百年の価値に千年の技で臨む
(株)金剛組 一級建築施工管理技士 橋口正さん

◇完全な保存と貴重な木材
大正から100年以上、ほぼ完全な状態で主屋や蔵、納屋など近代和風建築一式が残っている旧平安邸は非常に貴重。一つでも欠けると一気に価値が下がってしまうんです。
木材は高品質な松と欅(けやき)を大黒柱に使い、桧(ひのき)や杉も無節の材木を加工して戸襖(とぶすま)や廊下に使うなど、贅沢な造りとなっています。また、銅をふんだんに使った装飾も一見の価値あり。銅板製の雨どいや庇(ひさし)、家紋の入った持ち送り(庇など張り出した物を支える造り)は年月を経て、味わい深い緑青(ろくしょう)(青錆)に覆われ、建物の完成度を高めています。
季節に応じて装いが変わるところも旧平安邸の魅力。夏は葦簀(よしず)、冬は襖(ふすま)と入れ替えることで、過ごしやすさと趣を両立しています。

◇素材を生かす匠(たくみ)の技
修繕は古いものをなるべく残すように、経験豊富な技術社員と宮大工が手を入れる部分を判断します。
風合いが変わらないよう、質感や色を合わせる、木と木の接続部分はなるべく金属を使わないなど。郷土館の価値が下がらないよう、金剛組が1400年以上積み上げてきた技で仕上げました。

館長と技士が動画で語る郷土館
※二次元コードは本紙をご覧ください。

郷土館のどこかにいるよ。探してみてね
※詳細は本紙をご覧ください。

◆改修後の旧平安邸
(1)1本の巨木の継ぎ目のない板材を使った戸襖(とぶすま)
(2)手作りガラスと1本の巨木の継ぎ目のない板材を使った廊下
(3)松の大黒柱。柱の収縮と割れを防ぐために柱の一面から中心までノコ目を入れる背割り
(4)既存の物を生かし、質感や色を合わせる補修
(5)大黒柱同士をつなぐ天井裏の梁(はり)。曲がったものを使うことで耐久性を上げている
(6)数寄屋(すきや)風の廊下の化粧垂木(けしょうだるき)
(7)床の間の数寄屋(すきや)風床柱(とこばしら)
(8)夏は葦簀(よしず)冬は襖(ふすま)
(9)タイルを使った近代的な浴室
・複製された約100キロの鬼瓦
・大棟(おおむね)の14段ののし瓦
・屋根裏から軒先を支える桔木(はねぎ)
・銅の雨どいは内側のみ補修。外側の緑青(ろくしょう)は生かす
・数寄屋(すきや)風の一文字葺(いちもんじぶき) 銅板製の庇(ひさし)
・家紋が入った持ち送り
※詳細は本紙をご覧ください。

◆報告展 旧平安邸耐震補強改修等工事報告展
◇古い素材を生かす匠の技
期間:10/12(土)~11/27(水)
場所:郷土館
費用:入館料
旧平安邸耐震補強改修等工事の様子を写真や資料で報告。
また、工事前に使っていた鬼瓦や銅板なども展示。詳しくは郷土館【電話】072-794-3354へ。

◆講演会 旧平安邸耐震補強改修等工事竣工記念講演会
◇専門家が語る旧平安邸の魅力
日時:10/12(土)午後1時半―3時半
場所:郷土館
費用:入館料
定員:30人
申し込み:10/1(火)から電話で同館へ(先着順)
神戸大学名誉教授で市文化財審議委員会委員長の足立裕司さんの講演「住宅史の中の旧平安家住宅」と、工事の設計監理をした(特非)阪神文化財建造物研究会の工事内容の報告。旧平安邸見学あり。詳しくは郷土館【電話】072-794-3354へ。

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