■「合理的配慮」とは? Vol.5
◇政治への参加に関するバリアを考える
今回は、選挙の時の投票など「政治への参加」を例に、合理的配慮について考えてみましょう。
国や自治体のあり方に意見を述べるのは国民(市民)の大切な権利ですが、障がいのある人の政治参加が十分に想定されていなかったために、バリアを感じる人たちがいます。
投票をする前に候補者選びがありますね。「街頭で候補者が演説をしていたが、手話通訳が付いていなかったので、内容が分からなかった」、「テレビでの政見放送も、手話通訳が付いていない場合がある」というろう者からの声があります。放送に字幕が付いていても、手話が最も分かりやすいろう者にとって、十分な情報が得られないのが現状です。
投票所では、合理的配慮をするための係員が配置されています。文字が書きにくい上肢障がいや視覚障がいのある人は、係員に意思を伝えて書いてもらうことができます(視覚障がいのある人は、点字での投票も可能)。知的障がいのある人が、候補者の一覧表を指さして、投票することもできます。
一方で、投票所に行くこと自体が難しい人がいます。自宅で投票できる郵便投票制度がありますが、障がいの等級・要介護度などの条件が厳しく、希望してもできない人がたくさんいます。これは制度の障壁(バリア)だと私は考えます。
「障がいがあるから、投票できない」のではなく、「社会にバリアがあるから投票できない」人がいると考えて、改善策を探ってほしいと思います。
(公財)世界人権問題研究センター研究員 松波めぐみ
問合せ:人権推進多文化共生課
【電話】072-740-1150
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