■差別の事例から考える Vol.1
◇差別は「不安」から起こるもの
話し合うことが大切です
今回は障害者差別解消法で禁止されている「不当な差別的取り扱い」について説明します。
不当な差別的取り扱いとは、障がいのある人を正当な理由なく、障がいのない人とは違う扱いをして、不利益を負わせることです。言い換えると「差別」になります。
車いすユーザーであることで、入店を拒否することが典型的な例ですが、実際には次のようなケースが起こっています。
知的障がいのある小学生の親御さんが、絵画教室の案内を見て、申し込もうとした。しかし絵画教室側は、「こちらは知的障がいについて知識がないから、保護者が常に付き添ってほしい。そうでなければ、入会できません」と言われた。
このように、障がいのある人の場合にだけ、特別な条件を付けることも差別といえます。保護者としては納得がいきません。「うちの子は絵が好きで、学校でも描いているし、先生の言っていることは分かるのに、なぜ?」と不審に思い、自治体の窓口に相談しました。
親子と絵画教室側が話し合う場を持ったところ、お子さんと十分に意思疎通できることが分かり、付き添いなしでの入会が認められました。
差別の多くは、知識や経験がないことや不安から起こっています。不安に思うこと自体が悪いのではなく、話し合うことが大事です。合理的配慮の場合と同様、対話がポイントですね。
(公財)世界人権問題研究センター研究員 松波めぐみ
問合せ:人権推進多文化共生課
【電話】072-740-1150
<この記事についてアンケートにご協力ください。>