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special feature 変化する川西の地域医療(1)

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兵庫県川西市

市立総合医療センター開院から2年

中心市街地に市立総合医療センターができたことで、市の地域医療は大きく変化しました。開院前後で変わったことや、これからの課題などについて紹介します。

■総合医療センターは急性期病院です。
市立総合医療センターは、高度な医療を行うスタッフと最新の医療機器を備えた急性期病院(詳しくは4ページ)です。専門的な診療を優先的に行っているため、初めて受診する時は、かかりつけの医師に相談し、紹介状(診療情報提供書)をもらってください。紹介状の持参がないと、初診時選定療養費(7000円)がかかります。

■データで見る開院前後の変化
令和4年9月に「市立総合医療センター」が開院して2年がたちました。病床数250床の市立川西病院と、病床数313床の協立病院が統合し、病床数405床の同センターになりました。同センターが開院してからどのように運営されているのか、データを基に見ていきます。
救急の受け入れ件数や手術件数、分娩(ぶんべん)件数は下図の通り、平成30年度よりも着実に増加。これは病院を統合するに当たり、中心市街地に開院してアクセスが良くなったことや、医療スタッフが一カ所に集約されたことで効率の良い運営ができるようになったことなどが要因です。
また、救急不応需率(救急車などの受け入れ要請のうち、受け入れることができなかった割合)は平成30年度の市立川西病院では約28%でしたが、令和5年度の同センターでは約11%に改善(左上グラフ(1))。同センターが急性期病院(詳しくは4ページ)として「断らない医療」を目標に取り組んでいる成果が出ています。
しかし、救急患者の受け入れが重なってしまうなど、やむを得ない事情で受け入れ要請を断ることもあります。

データで見る市立総合医療センター開院前後

※統合まで、医療法人協和会では第二協立病院が産科を実施していたため、分娩件数は第二協立病院の数値を用いています。

■取り組んでいく課題
課題としては、患者を対象に実施した満足度調査で、「診察までの待ち時間」「会計手続き」についての満足度が低いことや、急性期の治療を終えた人の退院調整を行う病床管理があります。
5年度の同センターの病床稼働率は92・5%。効率的に病床が稼働していると言えますが、さらに上がると、新たな救急患者の受け入れができない、きめ細やかなサービスの提供ができないなどの問題が出てきます。一方、病床稼働率が低くなると経営が不安定になってしまうため、ある程度高い稼働率を維持しなければなりません。その上で、多くの人に医療を提供するには、急性期の治療を終えた人から高度な治療を必要とする人に、なるべく早く病床を譲ってもらう必要があります。
この課題の解決には、皆さんの協力が必要です。

■モバイル診察券…PokeMed(ポケメド)
医療費後払いサービス…待たずにラク~だ

病院での待ち時間を減らしませんか

外来利用者からのよくある意見が、「診察までの待ち時間が長い」「会計手続きに時間がかかる」です。同センターでは解決策として、モバイル診察券「PokeMed」と医療費後払いサービス「待たずにラク~だ」を導入しています。
「PokeMed」はスマートフォンを診察券として使うことで、予約状況や診察待ち人数の確認をスマホで行えるため、待ち時間を他のことに活用できます。また、「待たずにラク~だ」は事前に名前やクレジットカード情報などを登録しておくことで、医療費が後日自動で決済されるため、診察が終わったらすぐに帰宅できます。

問い合わせ:市立総合医療センター
【電話】0570-01-8199(ナビダイヤル)

■INTERVIEW
邉見公雄 Henmi Kimio
(公社)全国自治体病院協議会名誉会長。専門分野は消化器外科・医療経済。令和4年から市立総合医療センター経営評価委員会の委員長を務める。

◇医療も経営も質が上がった
公立病院は、効率を求めすぎてはいけない、多少の赤字は覚悟してでも守らなければならない地域医療の要です。公立病院に、民間企業による指定管理者制度を導入すると、医療の質より経営を重視しがちです。しかし、市立総合医療センターは、医療は公共性が大事だということを認識し、医療の質も経営の質も上がった理想的な例です。
また、救急科がある病院は赤字経営になりがちですが、同センターは患者数の多さと、脳や心臓などの高度な治療を行うことで黒字経営を維持しています。立地の良さや救急科の新設、全室個室化などさまざまな要因から患者数が増えているのでしょう。

◇限られた資源でどう支えるか
課題は、病状が安定したら自宅や回復期病院(詳しくは4ページ)、介護施設などに移ってもらうための退院支援です。地域に不足していた回復期病院が市立川西病院の後にできたので、つながりを生かして地域全体で医療を支えることが大事でしょう。
2040年には医療・介護ともに働き手が圧倒的に不足すると言われています。限られた資源で市民の健康を支えるためには、病院の枠組みを超え、医療・介護ともに地域全体を一つの枠組みと考えて協力することが必要です。

問い合わせ:保健・医療政策課
【電話】072-740-1136

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