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自治体の皆さまへ

人権シリーズ 352号

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兵庫県市川町

感性豊かな人・まちづくりをめざして

《ネット社会における部落差別》
◆本年度の住民研修DVD「大切なひと」
「大切なひと」は兵庫県人権啓発協会が作成したDVDで、本年度の住民研修にて視聴する予定です。34分のドラマ仕立てです。

《内容紹介》
左側の女性が主人公です。彼女にとっての「大切なひと」が右側の女性です。主人公は大学生で、ドラマは、彼女の友人がネット上に動画をあげるところから始まります。友人が再生回数を上げるためにしたこと、それは同和地区の撮影でした。「今、やばいところに来ています」とレポートするのです。アクセスが増え「バズった」と喜ぶ友人たち。しかし…。

このDVDのテーマは「ネット社会における部落差別」です。インターネットは利便性が高く、SNSや動画投稿サイトから簡単に発信することもできます。その反面、他人への誹謗中傷、根拠のないうわさの流布など、人権問題が後を絶ちません。特に大きな問題なのが、同和問題での悪質投稿です。

▽全国部落調査復刻版
二〇一六年、全国部落調査(戦前の調査報告書)を復刻出版する動きがありました。それは裁判所により出版禁止となりましたが、企画者はその地名一覧を、一定期間インターネット上に掲載していました。これらの行為は、これまでに築き上げてきた人権擁護の取組が崩れ去るほどの大問題です。

▽「部落探訪」動画
ユーチューブに「部落探訪」という動画が公開されました。発信者は前述の全国部落調査の件と同一人物です。同和地区を訪れ地図を示し、個人宅や墓石、自動車ナンバープレートまで映していたのです。二〇一八年以降これをシリーズ化し、動画数は二〇〇本以上となりました。
ユーチューブの運営はグーグル社です。法務局からは削除要請をしましたが、部落差別は日本固有の問題であるため、海外の会社には認識されにくいです。ようやく二〇二二年に削除となりました。

▽ネットの特性
前述の「地名一覧」「部落探訪」の削除により問題は解決したのでしょうか。答えはNoです。一度ネット上に出た情報は、コピーされ拡散するので根絶できません。また、規制のゆるい運営会社や海外サイトから発信することで、悪質な投稿も生き延びてしまいます。
さらに大きな問題は、模倣者の出現です。残念ながら、誤った発信に対して同調する者も少なからずいます。悪質差別発信が後を絶ちません。DVD「大切なひと」の青年も、そんな模倣者として描かれています。
同和問題だけでなく、在日コリアンについても同様の事象があります。それには激しいヘイトスピーチも伴っています。

▽モニタリング事業
このようなネット上の悪質な発信に対して、県では二〇一八年よりモニタリング事業を行っています。定期的にネット上を点検し、差別事象を発見した場合はプロバイダに削除要請します。全てのプロバイダが削除に応じるとは限らないのですが、一定の抑止力にはなっています。市川町も二〇二一年より実施しています。

▽今こそ正しい知識を
かつての同和対策事業の終了後、人権啓発と人権教育において同和問題を取り上げる機会は減少しました。そのため、若い世代ほど同和問題について具体的に学んだ経験が少なくなっています。そこにネット上から差別的な情報が入った場合、それに影響されてしまう恐れが多分にあります。このDVD「大切なひと」では、ごく普通の大学生が誤った差別行為に流れる姿を描いています。
このDVDの研修対象は住民全般ですが、どうぞ若い世代にも見ていただきたい内容です。

問合せ:生涯学習課 人権教育啓発係
【電話】26-0001

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