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我がまち朝来 再発見(第201回)

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兵庫県朝来市

■朝来市は自然豊かな生き物の楽園!でも迫りつつある脅威…後編 童謡ドングリコロコロに迫る脅威
夏本番、川遊びやキャンプ、昆虫採集など自然を楽しんでいますか?
さて、前回は桜にせまる脅威をお伝えしましたが、今回は童謡ドングリコロコロの危機についてです。ドングリなどを実らせ、カブトムシなど昆虫の大好物の樹液を出すナラ属の木ですが、木が突然枯れる、ナラ枯れと呼ばれる現象はご存じですか?原因はカシノナガキクイムシと呼ばれる昆虫がもたらすナラ菌です。感染した個体がナラの木に卵を産みつけることでナラの木も感染し、そして新たな保菌個体が羽化し、ナラ菌を広げます。ナラ菌に感染した木は、細胞が死に、通水障害を起こし枯れます。前回紹介したクビアカツヤカミキリと同様に昆虫の仕業ですが、大きな違いは在来種であることです。昔から生息する在来昆虫なのになぜでしょうか。実は私たちの生活の変化が要因であると考えられています。
昔、ナラは木炭の材料として多く植林され、人々の生活に欠かせない物でした。以前は木が大きくなる前に伐採し炭を作り、切り株の脇芽が再び育つサイクルでした。しかし、木炭の需要が下がり、ナラの木が放置され、木が成長する事で、大きな幹を好むカシノナガキクイムシが繁殖しやすい環境が生まれたことが、ナラ枯れの蔓延を招いたと考えられています。また、山では木が枯れた後、本来であれば種からナラをはじめとした若い木々が育つはずが、シカやイノシシの増加により新芽が食べ尽くされ、新しい木が育ちにくい環境も影響していると考えられます。
私たちが生活する自然界には、約3000 万種の生物が生息し、多様な環境、地域の中で動物や植物、細菌までもがつながり、支えあいながら生きています。外国との貿易拡大によりクビアカツヤカミキリは、本来生息しない場所に突然入り込みました。カシノナガキクイムシの増加は、私たちの生活ニーズの変化に伴い、山を放置した事による環境の劣化が原因です。自然界は密接に絡み合った調和の中で成り立っています。小さな環境の変化であっても、連鎖的に大きくなりバランスを崩壊させる恐れがあります。そのような中、今回の出来事は私たちに何ができるのかを考えるきっかけになる、自然界からのメッセージと前向きにとらえ、小さな事から行動してはいかがでしょうか。普段から樹木を気にかけ、成虫やフラス(虫が排出した木くず)、大量に枯死したナラなどを見つけた時に、専門機関などに相談することでも被害を小さくできます。駆除のため猟師が捕獲したシカやイノシシなどのジビエを有効活用する、少し高価ですがバーベキューに国産の木炭を使うなど、自分たちにできる事は他にも多くあります。自然界を形成する一つのピースが失われると、環境に何らかのずれが生じます。桜の花見ができなくなる。樹液にやってくる虫たちに出会えなくなる。どれもさみしいですよね。
しかし、クビアカツヤカミキリもカシノナガキクイムシも決して悪ではなく、問題は人々の生活の変化が引きおこしたものです。そのことを忘れずに、次の世代に豊かな自然を伝えることが、私たちの使命ではないでしょうか。

問い合わせ先:文化財課
【電話】 670-7330【Eメール】bunkazai@city.asago.lg.jp

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