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神河町史「民俗文化編」の調査 日々の暮らしを記録する(1)

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兵庫県神河町

神河町史編集員(民俗担当) 西尾 嘉美
みなさんは、「民俗」という言葉をお聞きになったことがありますか?
民俗とは、日々の暮らし、つまり、風俗・習慣・伝説・民話・生活用具・家屋など、民間で長らく伝えられてきた有形・無形の文化遺産のことをさします。
この民俗を調査・記録し、その歴史的な変遷を明らかにし、現在の生活文化を広い視野から説明しようとする学問が「民俗学」です。神河町の南に位置する福崎町出身の柳田國男(明治8(1875)年~昭和37(1962)年)が学問として確立しました。
民俗学の基本は、民間で伝えられてきた風俗・習慣などについて、聞き取り調査・現地調査を重ねることにあり、神河町史編さん事業でも、民俗編を刊行するための調査を進めています。
では、実際に、どのような事柄について、どのように調査をしているのかをご紹介しましょう。

1.共同体の民俗
共同体とは、地縁的な結びつき、つまり、おなじ自治会・隣保に入っている、同じ神社の氏子である、同じ寺の檀家であるなどの結びつきのことで、共同体の行事とは、そのメンバーが互いに協力して続けてきた民俗・民俗行事のことをさします。
たとえば、粟賀町で地域の高齢者の皆さんに公民館にお集まりいただき、自治会・隣保のこと、家と家の付き合い方、道や用水路の変遷、暮らしの移り変わりなどについてお聞きしました。机に地図を広げ、道筋や用水路の変化について、地域の方とひとつずつ確認してきました。
調査にあたっては、できるだけ昔のことについてお聞きし、現在との違いが分かるようにします。
こうした聞き取りは、粟賀町以外に越知・南小田・柏尾などでも行い、これからも続けて行う予定です。
調査する中で、家と家との付き合い方に「モヨリ」「マキ」というあり方があることが分かりました。集落によってはモヨリが隣保(組)と同じ場合もありますが、墓地の共有など隣保より相互扶助的な付き合い方です。マキは血縁関係とはちがう「家の親戚」とでもいうべき付き合い方で、小さな社・祠などを共有し、定期的な集まりを持つ例がありました。この事例は、神河町の民俗を知る上で、重要な項目として注目しています。

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