豊岡の自然を身近に感じる季節の言葉を紹介します。
■ヒガンバナが美しく咲く季節になりました。
◇鮮やかに咲く秋の風物詩
漢字で書くと彼岸花。名前のとおり秋の彼岸を中心に咲きます。花期に葉はなく、地面から伸びた花茎の先に鮮やかな赤い花を咲かせる、最も人目につく植物の一つです。ヒガンバナは人里に近い田畑の縁やあぜ、堤防、墓地、寺院などでよく見られますが、草全体にある有毒成分を利用するために、かつて人が植えたものです。
◇ヒガンバナの役割
田畑にはモグラやネズミ、虫がやってきます。毒がそれらを防ぎ、草も生えにくくなります。
さらに裏の目的もあったと言います。毒がある球根は、何度も水にさらすと毒が抜けて食べられるようになります。
美味しくありませんが、飢饉(ききん)のときに命をつなぐことができます。非常時以外は食べてしまわないように、わざと「死人花」「持ち帰ると火事になる」など不吉なイメージをつけたという説もあります。
◇咲きそろう姿は見もの
最近は、咲きそろった景観をめでるため、積極的に植えて育てているところがあります。埼玉県日高市の巾着田は全国的に有名です。豊岡でも小規模ですが、植えたような場所が散見されます。豊岡で最も見応えがある場所は、円山川の堤防です。立野大橋〜円山大橋間の右岸堤防(約1km)を花が埋め尽くします。
堤防の管理をしている豊岡河川国道事務所が市民の要望を受けて、草刈のタイミングをヒガンバナの開花と成長に合わせて変更された成果です。
写真・文:NPO法人コウノトリ市民研究所 菅村定昌
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