健康長寿のための「オーラルフレイル」予防

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■健康長寿のための「オーラルフレイル」予防
相生・赤穂市郡歯科医師会
せんざき歯科医院　千崎達矢

「オーラルフレイル」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。最近むせやすくなった、食べこぼしが増えた。食欲がない。軟らかいものを好んで食べるようになった。滑舌(かつぜつ)が悪くなった。口が乾きやすくなった。歯が抜けたままになっている。など…。これらのようなちょっとしたお口に関する「ささいな衰え」がオーラルフレイルです。例えば虫歯や歯周病を放置したことで歯が折れたり抜けたりして、それまで噛(か)めていたものが噛めなくなることがあります。そのため自然と食べやすい軟らかいものを選択するようになり、いつしか軟らかいものを食べることが習慣となります。すると噛むための筋肉を使わなくなり、結果として噛む機能が低下します。徐々に口の機能の低下が進行し、食べ物の選択肢が狭まり栄養に偏りが生じたりすることで心身機能の低下にもつながると考えられています。このような「負の連鎖」に早めに気づくための重要なサインとしてオーラルフレイルは近年注目されています。
ある調査によると、オーラルフレイルの人はそうでない人と比べ、2年以内に身体的フレイルを発症する確率が2.4倍、4年以内に死亡するリスクは約2倍ということがわかってきました。要介護状態や死亡には、口腔機能の低下が関連している可能性が高いということです。つまり、お口のささいな衰えを甘く見てはいけない、ということです。
オーラルフレイルを予防するには、歯と口の健康を保つことが大切です。具体的には「口の中を清潔に保つこと」そして「加齢で衰える口腔機能の維持・改善に努めること」がポイントとなります。また、オーラルフレイルの状態になったとしても、早期に気付き対策を行うことによってお口の機能低下を緩やかにし、失われつつある口腔機能を回復させる可能性があることが分かってきました。衰えは必ずだれにでも平等に訪れます。しかし、その程度は、もともとの体質や生活習慣などで変わってきます。体質は変えることはできませんが、生活習慣は変えることができます。かかりつけ歯科医院での定期健診を受けることで「オーラルフレイル」を予防し健康長寿を目指しましょう。