全国学力・学習状況調査は、児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証することで、その改善を図るとともに、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てることを目的に実施しています。
この調査によって測定できるのは、学力の一部分であり、学校における教育活動の一側面に過ぎません。
■調査の概要
対象:
・小学6年生148人
・中学3年生172人
調査日:令和5年4月18日(火)
内容:
(1)教科に関する調査(国語、算数・数学、英語)
(2)児童生徒質問紙調査(学習意欲・方法・環境や生活の諸側面等に関する質問)
(3)学校質問紙調査(指導方法に関する取り組みや人的・物的な教育条件の整備状況等に関する質問)
■教科に関する調査の結果と全国平均値との比較
全国平均値と比較して、±5ポイント以内の差を「同程度」と表現しています。
■はじめに
今回の調査結果を受けて、学校では子どもたちの生活実態や学習状況などを適切に把握するとともに、これまでの取り組みの成果と課題を検証しました。
市教育委員会では、学校での検証内容を踏まえ、指導の工夫改善を図るための具体的な方策について協議し、その概要について、特徴的なものをまとめました。
■教科に関する調査から
本市の状況について、小学6年年生、中学3年生ともにすべての教科で全国平均と同程度でした。中学校の英語については4年ぶりに調査が行われました。
各学校では、知識・技能の定着を図るため、復習を丁寧に行うとともに、少人数指導などのきめ細かな指導の充実や授業の改善に努めています。
▽小学校 国語
資料を読んで、書かれている内容として、適切なものを選択する問題の正答率が高く、「原因と結果を分かりやすく伝える」活動に、取り組めている成果といえます。
一方、文章を読み、その内容について決められた条件に合わせて書く問題の正答率が低く、引き続き同様の課題に取り組んでいく必要があります。
▽中学校 国語
特に、古典の原文と現代語で書いた作品を読み比べる問題の正答率が高く、古文の基礎的な知識が身についているといえます。
一方、文脈に即して「推し(量る)」と漢字を正しく書く問題の正答率が低く、漢字を文や文章の中で使うことや読書活動などを通して語彙力を高める必要があります。
▽小学校 算数
5脚の椅子を重ねた時の高さを求める問題や、一の位が0の場合のかけ算の問題の正答率が高く、計算練習の積み重ねや数式を日常生活に関連づけることを大切にしている成果といえます。
一方で、正三角形、台形の意味や性質についての理解に課題が見られます。
▽中学校 数学
基礎的・基本的な計算技能は身についています。また、データを活用する問題の正答率が高く、少人数授業により、きめ細かな指導に努めている成果といえます。
一方で、図形の証明問題の正答率が低く、ある事柄が成り立つことを考察し、筋道を立てて説明することに課題がみられます。授業でも、解を導き出すだけでなく、その解き方を説明できる力を身につけさせる工夫が必要です。
▽中学校 英語
「聞くこと」「読むこと」「書くこと」の全分野で全国平均と同程度になっています。
「聞くこと」ではALT(外国語指導助手)との音読やリスニング活動に力を入れ、ネイティブな発音にふれる機会を増やしています。「読むこと」では、教科書の音読を繰り返す指導を重視しています。「書くこと」では、「話す」活動→「書く」活動→評価・添削→見直しの流れを定期的に授業に取り入れています。これらが成果となってあらわれているといえます。
一方、事実や自分の考えなどを整理し、まとまりのある文章を書くことに課題がみられます。短文ではなく、テーマやつながりを意識しながら長文を書く活動を増やすなどの工夫が必要です。
「話すこと」調査は、PCやタブレット端末を活用したオンラインによる回答方式で行われました。今回は全国との比較はありません。
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