子宮頸がんを予防するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの重要性は分かるけれど、自分が接種することや子どもに接種させることは、ためらってしまう人が多いと思います。
本町の接種者の約半数が、香住病院で接種しています。全国と比べて、接種率がかなり低いことが分かります。
子宮頸がんを撲滅させるためには、15歳までの接種率が90%になることが、目標の一つとなります。
令和4年度と5年度に、香住病院でHPVワクチンを接種した人とその保護者を対象にアンケート調査を行いました。その2年分のアンケート結果を見ながら、一緒にHPVワクチンについて考えていきましょう。
今年度、香住病院で接種しているのは9価ワクチン(シルガード9)です。
このワクチンは、子宮頸がんの原因として90%を占める7つのHPV型をカバーしているため、子宮頸がんの発症を予防する高い効果が期待できます。
4価HPVワクチンを17歳までに接種し、子宮頸がんが88%減少したと報告がありますが、9価ワクチンもそれ以上の効果が期待できます。
実際に、日本の9価ワクチンがカバーするHPVの感染分布から、このワクチンが普及すれば、子宮頸がんに対し93.6%の予防効果が期待されると報告があります。
HPVワクチンは安全性の高いワクチンです。10年ほど前に、HPVワクチン接種後に生じた慢性疼痛や歩行障害などが副反応として報じられましたが、非接種者にも同様の頻度で生じることがわかり、ワクチンとの因果関係は否定されました。
9価HPVワクチンを9歳から15歳の男女、約2,600人に接種し、10年間経過観察した海外の研究でも重篤な有害事象は観察されていません。
香住病院での聞き取りでは、令和4年度は2例(腹痛と倦怠感、下痢が1週間持続)、令和5年度は1例(腕がだるかったが翌日に消失)の報告がありましたが、3例とも医療機関の受診はなく軽症でした。
必ず接種した医師に相談してください。責任をもって診療し、必要があれば協力医療機関、専門医療機関を紹介させて頂きます。
■HPVワクチン接種率向上のための香住病院の取り組み
・1年通して、毎週木曜日の16時からHPVワクチン接種を行っています。
・HPVワクチン接種は小学6年生から可能です。今まで行っていなかったDTワクチン接種を新たに開始し、HPVワクチンとの同時接種を可能にしました。
※香住病院の場合、キャッチアップ対象者は令和6年9月26日までに1回目を接種してください(3回受けるのに6カ月かかるため)。令和7年3月31日以降は自己負担となり、シルガード9は1回27,900円、ガーダシルは1回17,600円が必要です。
※HPVワクチンについて、知りたいことや不安なことがあれば、ぜひご相談ください。お待ちしています。
(文:公立香住病院 小児科部長 杉原進)
問い合わせ先:公立香住病院小児科
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