文字サイズ
自治体の皆さまへ

みのり会館だより No.469

28/34

兵庫県高砂市

みのり会館では、同和問題をはじめとして、子ども・高齢者・障がい者・外国人などの人権問題の解決を目指して学習会や講演などを実施しています。今回は、8月22日に実施した子どもの人権教育学級の内容を紹介します。

■「子どもたちと共に学び、共に歩む子育てを考える」
講師 四天王寺大学教育学部教授
杉中康平さん

◇はじめに
子育ては「子どもたちとの関わり」と言い換えられます。人と人の間で生きるのが人間であり、誰かとの関わりなしでは生きていけません。
子どもとの関わりというのは、大人との関わりと基本的には同じです。子育ての中で親が子どもを見ていくときに、決めつけてしまう危険性もあるので日頃の子育てを見つめ直してみましょう。

◇現代社会の3つの特徴と子育ての難しさ
一つ目は、コンビニエンスストアに象徴される「消費型社会」、少しぐらいのわがままは、いつでもどこでもかなえられる時代がやってきていることです。「子どもを不幸にするいちばん確実な方法は、いつでも何でも手に入れられるようにしてやることだ」という教育者の言葉もあります。
二つ目は、インターネット、携帯電話に象徴される「情報化社会」です。便利さと引き換えに危険や誘惑が多くなりやすいです。「他人を安易に信じてはいけない」と伝える必要があるかもしれません。
三つ目は、テレビゲームに象徴されるバーチャル、仮想現実の「ゲーム化社会」、いわゆる幼児期特有の万能感が崩れずに大人になってしまう可能性もあります。
昔の子どもには、「たくましさ、柔軟さ、がまん強さ」が割とよく見られました。しかし、時代の流れはもう後戻りはできません。上手に「便利さ」と付き合っていくしかありません。まず、大人が自覚的に生きること、大人の責任で子どもたちの「生活」を守ってやることが大切になります。

◇子どもは厳しくしつけなければいけないのか?
非行に走る子に聞くと、「自分は厳しく育てられた」と感じている場合が多いように思われます。「切れる子」にしないためには、親が「切れない」ようにすることが大切です。

◇子どもの自尊感情を育てる
「自分はできる」「自分は大切だ」と思う自尊感情を育てていくことが大切です。そのための方法の一つとして、わが子に多くを与えないこと。それによって子どもたちは「我慢」や「努力」「創意工夫」といった力が身に付きやすくなります。また、わが子に多くを求めないこと。子どもの頑張りの一つ一つを認め褒めてやることで、子どもは伸びやすくなります。次に、わが子と一緒に楽しむこと。親と子が一緒に大変さや楽しさを共に感じる。そうやって応援してもらった子どもは、やがて自分の力で自分なりの幸せを手に入れることができると思います。

◇まとめ
真面目な保護者ほど、完璧な子育てを目指してしまうかもしれません。ちょっと立ち止まると見えてくるものがあります。「子どもは大人の言葉は聞かないけれども、態度の方はちゃんと見ていて、それを学ぶ」と言われているのを聞いたことがあります。
まずは、保護者自身が毎日の生活を楽しみましょう。また、どこかの時点で子どもは親を追い抜かすものです。保護者自身が親子関係をある意味卒業できるか、親も気が付かなければならないのかも知れません。
子育ては「カ・キ・ク・ケ・コ」から「ア・イ・ウ・エ・オ」と考えましょう。「硬い・厳しい・苦しい・険しい・怖い」子育てから「明るい・生き生きと・うれしい・笑顔で・面白い」子育てを願いたい。日々の変化を楽しむことにも完璧を目指さずに、「楽しめたらいいな」の気持ちを心掛けましょう。

問合せ:みのり会館
【電話】431-6170

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU