町では、優れた景観と環境を保全し、安全で心豊かに過ごすことができる癒しのリゾート地を目指し、その魅力を高めるとともに、町民生活と調和した持続可能な観光の振興を図る施策に要する費用に充てるため、宿泊税の導入を進めています。
◆宿泊税の検討経過
町では、2015年から持続可能かつ魅力的な観光地づくりを支えるための恒常的な自主財源の確保に向け、勉強会や先進地視察、北海道や倶知安町との情報交換などを行い、新たな税の導入を検討してきました。
2022年に策定した「観光振興ビジョン」において、「町民や観光客から信頼される持続可能な国際リゾート」を目指すべき将来像とし、その実現のために必要な財源として、宿泊税を提示しています。コロナ禍を経て、今年3月には宿泊税の導入事務を進めることを発表し、4月には税務課に宿泊税係を新設しました。
また、町内での合意形成のため、主要ホテル支配人会議、宿泊事業者説明会や観光審議会、議会などで意見交換、公開での職員研修などを行い、条例案について、みなさんからの意見を募集しました。
・宿泊税導入に向けた取り組み
◆宿泊税の導入時期
観光地の質を高める課題は一刻も早い対応が求められるものが多く、課題解決の政策実行に向け、有効な財源として宿泊税導入を進めています。ニセコ町議会12月定例会で宿泊税条例案を審議予定です。議会で可決された後も、新たな税を導入するための総務大臣協議期間と宿泊事業者のみなさんなどに準備してもらう期間が必要となるため、最も早くて2024年11月1日からの導入を目指します。
・今後の予定
◆目指す将来像
町民や観光客から信頼される、持続可能な国際リゾート
現在想定している宿泊税の使い道:
・地域内交通の充実
・宿泊事業者の地球環境負荷低減を促進・支援
・観光協会組織強化、観光人材育成、観光のデジタル化推進
・景観・環境(水資源・廃棄物含む)保全対策
・有事への備え
◆宿泊税導入で目指す姿
観光産業は、雇用創出や他の産業への波及効果など地域へプラスの影響をもたらす一方、自然環境・景観の悪化、救急業務の増加、ごみ問題などマイナスの影響も生じます。ニセコ町では、このプラスの影響の最大化とマイナスの影響の最小化を図り、観光地としての質を高めていく取り組みを実施していきたいと考えています。その実現のため、上の図のような宿泊税の活用を想定しています。
◇具体的な取り組み
主な想定事業は地域交通の充実です。例えば、域内交通の不足はかねてからの課題でした。これまでデマンドバスの導入、冬期周遊バスの運行など国の補助金などを活用して実施していますが、運行に係る費用は大きなものです。財源としている国の支援も永続的ではありません。また、教育や福祉などの取り組みも進める中、町が観光事業に使える額は限られ、どうしても地域公共交通対策は限定的にならざるを得ませんでした。
このため、観光客が増えると交通がさらに不便になり、観光客の満足度も下がり、地域住民も利用しにくくなるという悪循環が生じます。観光地としての質の低下です。そこで、宿泊税という形で宿泊するみなさんに負担いただき、地域交通の充実を図ることで、質の低下を防ぎます。これは、ニセコ観光を楽しむ交通手段の提供にもなり、満足度向上にもつながります。交通が充実し移動が活性化することで地域での消費も拡大し、また、地域住民も生活の足として便利に活用できるようになります。
◇循環と地域還元
このように、宿泊税導入においては、観光によるさまざまな住民生活への影響をふまえたうえで、観光地としての課題解消を図り、「観光客に選ばれる観光地を目指す」、「観光地の質を高め、増える宿泊税でさらに取り組みを充実させる」、これにより「地域経済や住民生活にもプラス効果として還元する」といった好循環を目指していきます。
◇柔軟な検討と公開
このほかにも宿泊施設の省エネ化、観光人材育成などの取り組みを想定していますが、変動する観光課題・需要に応じて、宿泊税の使い道は柔軟に検討していきます。その際は、観光審議会での議論、町民向け予算説明書での説明、税収額と使用額の公表など、プロセスの見える化・共有化を実施していきます。
宿泊税の検討経過、制度概要について役場ホームページに詳しく掲載しています。
トップページ→暮らし→税→宿泊税
【URL】https://www.town.niseko.lg.jp/kurashi/tax/syukuhakuzei
問い合わせ:
制度全般…税務課宿泊税係(担当=松田・鈴木)
観光施策…商工観光課商工観光係(担当=川埜・米田・阿部)
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