■睡眠の新常識
今月は 保健師 菊地 実生 です
◆日本人は睡眠不足
日本は、世界でもまれに見る「寝不足大国」と言われています。日本人の睡眠時間は世界50以上の国で最下位となっています。厚生労働省では、睡眠による休養を十分とれていない人が増えているとして、最新の睡眠の研究結果をもとに、『健康づくりのための睡眠ガイド2023』を今年2月に作成しました。その中から、一部抜粋してご紹介します。
○成人
必要な睡眠時間:最低でも6時間以上
睡眠時間が6時間未満の場合、心筋梗塞などのリスクが5倍になることが報告されています。また、肥満・高血圧・糖尿病・脳血管疾患・認知症・うつ病などの発症リスクが高まることが、近年の研究で明らかになってきています。
○子ども(小学・中学・高校生)
必要な睡眠時間:小学生は9~12時間、中学・高校生は8~10時間
睡眠時間が少ないと、学力低下や肥満のリスクが高くなる、落ち着きがなくなる、抑うつ傾向が強くなるなどが報告されています。また、朝食を食べないと、体のリズムが後ろにずれて、夜更かし・朝寝坊になっていきます。テスト前や受験シーズンなどは勉強も大切ですが、睡眠時間をきちんととる方が学力は上がるので、時期が迫ってから慌てて勉強するのではなく、日々計画的に勉強しましょう。
○高齢世代
必要な睡眠時間:寝床にいる時間が8時間以上にならないことを目安に必要な睡眠時間を確保
若い世代と違って、長時間の睡眠(9時間以上)がアルツハイマー病の発症リスクを増加させることが報告されています。必要な「睡眠時間」は、年を取ると短くなり、若いときのように眠れなくなるのは身体の自然な変化です。眠ろうと頑張るほど、脳が覚醒してしまうので、眠れなければ、寝床を出て別のことをして、眠気を感じるようになってから寝床に戻ることも勧められています。
◆よい睡眠をとるために
・高齢世代の方で、夜の睡眠不足があって昼寝をしたい場合は、短時間(15~20分程度)にとどめましょう。
・休日などの「寝だめ」は、「時差ぼけ」の状態になり、身体に負担がかかるのでお勧めしません。
・寝る前のゲームは脳を興奮させて眠りにつきにくくなるので避けましょう。寝る前にスマホを見る場合は、ブルーライトカットの画面保護シートを利用したり、画面の明るさを暗めにして利用しましょう。
◆睡眠が原因で生活に支障が続く場合は医療機関へ
生活習慣の改善を試みても睡眠が原因で生活に支障が続いたり身体がつらい場合は、一度医師に相談してください。「睡眠時無呼吸症候群」や「うつ病」などの病気が隠れていることがあります。
問合せ:保健福祉課 健康支援グループ
【電話】0139-55-4460
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