■本州からやってきたカマキリ 488回
以前に取り上げたツチガエル(ふるさと探訪486回)に引き続き、今回も国内外来種の話。
カマキリは昆虫好きに人気な昆虫の一つですが、一般的に、北海道には道南地域に生息するオオカマキリを除き、自然分布していないとされています。
しかし近年、本州から人為的に移入したと見られる種類のカマキリ(オオ、チョウセン、コ、ハラビロ)が、札幌や小樽をはじめ道内各所で見つかっています。そして今年の9月下旬、倶知安町内にある幼稚園の敷地内で、ウスバカマキリの成虫が発見されました。本州に生息し、北海道には定着してないとされるカマキリで、本州では主に河川敷や、やや湿った草地といった開けた環境に生息しています。近年では河原環境の悪化などから数が減少してきており、絶滅危惧種に指定する地域もあります。所変われば扱いも変わるものですね。
今回倶知安で見つかった個体は、おそらく本州から建設資材を持ってくる際にカマキリの卵嚢(らんのう)が付いた石などが運ばれ、今夏の記録的な猛暑もあって成虫になれたのではないかと考えられます。これから、似たような例が次々と出てくるかもしれません。
今回の発見は、町内幼稚園の園児と先生からの連絡があってのことでした。この場を借りてお礼申し上げます。
文:小田桐亮(倶知安風土館学芸員)
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