●発達障害のグレーゾーン
こんにちは。町立病院の薬剤師、寺門です。
今回は、「発達障害のグレーゾーン」という言葉についてお話いたします。
「発達障害グレーゾーン」とは、発達障害の特性があるにもかかわらず、診断基準をすべて満たすわけではないため、発達障害として確定診断をつける事が出来ない状態をいいます。
ここで整理しておきたいのは、発達障害とは先天的な脳機能の発達の偏りと生活環境との不釣り合いから、社会生活が送りにくくなってしまう障害のことで、
(1)ASD(自閉症スペクトラム症)
(2)ADHD(注意欠如多動症)
(3)LD・SLD(限局性学習症)
の3つがあります。
「発達障害グレーゾーン」の場合、診断基準に満たないため、「発達障害」という病名は付きません。そのため、「支援を受けられない」「相談先がない」「理解を得にくい」といった悩み事を抱える事も少なくありません。
また、発達障害の診断基準を全て満たさないからといって、「グレーゾーンだから症状が軽度」という解釈は、間違っています。
例えば……
○ASD(自閉症スペクトラム症)
・曖昧な指示は理解が難しい
・自分の興味や関心がない業務は集中できない
・相手の話や意図が上手くつかめず、誤解しやすい
・急な予定変更に対応できない
○ADHD(注意欠如多動症)
・人から頼まれたことをうっかり忘れる
・業務上のケアレスミスが多い
・落ち着いて座っていられない
・そわそわする
・あれこれと気になって集中できない
・相手のミスをストレートに指摘しすぎる
・会議中に相手の話をさえぎることがある
○LD・SLD(限局性学習症)
・メモやノートを手書きでとることが苦手・遅い
・作業の指示が理解できない
・仕事の飲み込みが遅い
現在の診断基準は、上記の症状の該当数が多いほど確定診断に近づき、該当数が少ない場合は「グレーゾーン」となってしまいます。そのため、治療や支援に至らないケースがほとんどです。しかし、現在は確定診断に至らなくても相談先や支援してくれる団体が増えてきています。ひとりで悩まず是非相談してみて下さい。
お問い合せ先:天塩町立国民健康保険病院
【電話】(2)1058
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