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特集ー人生が花開く(3)

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北海道妹背牛町

■有識者インタビュー
◆変化に対応する柔軟さ
・拓殖大学北海道短期大学 農学ビジネス学科教授 小林孝夫(こばやしたかお)さん
花き専門の道職員だった時代から、田村昌之さんの父・福治郎さんにお世話になりました。
1990年代の当時、妹背牛町を含む北空知の花き栽培は、水稲との複合経営が重要視されていましたが、花きの生産は飛躍的には伸びない状況で、道内の大規模産地に遅れを取っていました。
福次郎さんらによる北空知広域連の設立によって、高度平準化が進み、物量による市場での優位性が確立され、全道一の花き産地を形成することに成功しました。
この成功を追随する地域が無かったことからも、それぞれのブランド力を持つ農協をまたぐ広域連携がいかに困難かということが分かります。
北空知の特徴として、古い産地にみられる「こだわり」が少なく、新しい技術の導入や変化する需要に適応できる柔軟さがあります。
水稲や畑作のスマート農業とは対照的に花き生産は依然として手作業に頼る部分が多く、人手不足に歯止めをかける支援が今後も求められるでしょう。
田村農園は、受け入れ体制が整備されていなかった時期から新規参入者を歓迎してきました。農業を担う人材を育てる拓大道短大にとって、住み込みで実習ができる農家は貴重な存在。食事中からも農業経営に対する考え方や姿勢を学ぶことができるからです。

◆地域とつながる研修体制
・空知農業改良普及センター北空知支所 地域第二係長 辻英敏(つじひでとし)さん
水稲が主力作物の妹背牛町は、水田の大区画化による農作業の効率化を進めている地域。花きでは、スターチスシヌアータやシネンシス系スターチスの生産量が多く、全道でも指折りの大産地、全国では責任産地となっています。
一方、生産者の高齢化により作付け面積は年々減少。手間のかかる野菜・花きの作付けに対する敬遠意識の高まりから、新規耕作者が少ないのが現状です。
指導農業士で、組合管内でもトップクラスの生産技術を有する田村さんがその経験を後継者に伝えることは、花きの収量・品質の向上に寄与する期待が持たれます。
各地域で就農している新規参入者の定着には、地域とのつながりをしっかりと持つことが重要です。
全ての生産技術を数年間の研修で習得することは難しく、研修中には発生しなかった病害虫の対応など、就農後も経営が安定するまでは、地域農業者からのサポートが必要になります。
そのため、研修中に地域の生産者と親しくなることで有益な情報が得られやすくなり、新規参入者の定着しやすい環境が整います。
閉鎖的と言われることもある農村部ですが、田村さんは、各種の現地講習会に研修生を参加させるなど、地域や関係機関とのつながりを考えた受け入れを行い、広い視点から研修生の新規参入をサポートしてくれていると思います。

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