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地下の研究現場から第50回 地下で作られる貝殻が岩の亀裂を塞ぐ?!

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北海道幌延町

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センター
モグ太くん:私たちの行っている研究について、広くご理解いただくために幌延町広報誌「ほろのべの窓」の誌面をお借りして町民の皆さまをはじめ、ご愛読者さまに研究内容についてご紹介させていただきます。

海の底で砂や泥が堆積してできた地層の中からは、球状の硬い塊が発見されることがあります。この塊は「コンクリーション」と呼ばれ、直径が1mを超えることもあります(図1)。幌延でも、数百万年前の地層の中から、コンクリーションが多数見つかっています(図2)。
コンクリーションはどのようにしてできるのでしょうか。実は、コンクリーションの中には、海の生き物(貝、カニ、クジラなど)の化石や糞など、生物の痕跡が必ず含まれます。生物の遺骸などが海底の砂や泥の中で分解されてできた炭素と、海水中のカルシウムとが反応して、炭酸カルシウムという硬くてきめ細かい鉱物(貝殻やサンゴと同じ成分)が生物の遺骸の周りに結晶化していきます。これを繰り返して、炭酸カルシウムのコンクリーションが球状に形成されていきます。
これまでは、コンクリーションができるまでに数十万年以上かかると考えられてきました。しかし最近の研究から、長くても数年でコンクリーションができることが分かってきました。わずか数年でできたコンクリーションが数百万年もの非常に長い間、地層中に安定した状態で保存されているのです。
幌延の地下施設では、このコンクリーションのでき方や性質を応用し、岩盤中の亀裂を塞いで地下水を通しにくくするための研究を進めています。炭素とカルシウムを放出する液状の樹脂材料(コンクリーション化剤)を新たに開発し、これを岩盤中の亀裂に注入しました。すると、注入直後から亀裂周辺の水の通しやすさ(透水係数)が低下し始め、注入から1年後には初期値のおよそ1/1,000まで低下しました(図3)。コンクリーション化剤から放出された成分が炭酸カルシウムを形成し、亀裂を塞いだと考えられます。こうした研究成果は、地層処分事業だけではなく、一般のトンネル工事など、地下水の流れを抑える必要がある事業に幅広く利用できると期待されます。なお、本研究は、名古屋大学と共同で実施しています。

図・写真は本紙をご覧ください。

広報・調査等交付金事業

お問い合わせ先:国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
幌延深地層研究センター…【電話・告知端末機】5-2022【HP】https://www.jaea.go.jp/04/horonobe/
ゆめ地創館…【電話・告知端末機】5-2772【HP】https://www.jaea.go.jp/04/horonobe/yumechisoukan/index.html

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