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言葉を通して知るアイヌ文化14

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北海道幕別町

■フクジュソウとイトウ
3月も下旬になると、残雪の中からフクジュソウが黄色い花を咲かせます。フクジュソウは、十勝ではチライムンと呼ばれます。チライは、かつてふるさと館でも飼育されていた魚の《イトウ》で、ムンは《草》という意味です。地域によってはチライキナとも言いますが、キナは《(食料や材料となる生活に強く関わる)草》という意味です。フクジュソウは有毒の植物で、食料や材料などとして用いることができないので、ムンと呼ばれたのかもしれません。
フクジュソウをイトウ(チライ)の草(ムン/キナ)と呼ぶのは、この花が咲くと、川が濁っていても、イトウが遡上してくるので、イトウの漁の準備をしたということです。イトウの身は春の鮮魚のないときの食料として、皮は靴の材料として重要なものでした(サケに比べて丈夫だったようです)。
また、チライという言葉が入った名前を持つ生き物にオシドリ(チライマチリ)もいます。本当の語源はよく分からないのですが、チライ《イトウ》マ《泳ぐ》チリ《鳥》と解釈されることがあります。最後のチリは独立の単語としては出てこないのですが、《鳥》という意味で、チロット(白人)の語源であるチリ・オ(ッ)・ト《鳥・がたくさんいる・沼》にも出てきます(単独で《鳥》という場合にはチカプと言います)。《イトウが泳ぐ》という解釈からか、北海道の西の方では、春になってオシドリの鳴き声が聞こえるようになると、川にイトウがいて、それを捕ったという言い伝えがあります。

※「チライマチリ」、「チリ」、の「リ」、「チカプ」の「プ」は環境依存文字のため、置き換えています。正式表記は本紙をご覧ください。

文・写真:阪口諒(さかぐちりょう)

問合せ:生涯学習課学芸員
【電話】(幕)54-2006

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