今月の保健師 長崎歩維さん
皆さんが最近、涙を流したのはいつですか?泣いて涙を流すことはストレス解消やこころの健康に良いことがたくさんあるため、意識的に涙を流す「涙活」という言葉もあるそうです。今月は泣くことの効果についてお話します。
【泣いてデトックス】
涙には(1)目を守るための基礎分泌による涙、(2)ホコリ・煙などの刺激による反射性の涙、(3)悲しい・うれしいなど感情が昂ったときに出る涙の3種類があります。そのうち、感情的な涙の中にはコルチゾールと呼ばれる成分が含まれています。コルチゾールは別名ストレスホルモンと呼ばれており、心身の健康に影響を及ぼすため、泣くことでそのストレスホルモンを体外に排出するデトックスの効果をもたらします。
【泣いてリラックス】
緊張すると交感神経が優位に働き、リラックスすると副交感神経が優位に働きます。通常は交感神経と副交感神経のバランスが反転するのに10分以上かかるといわれていますが、泣いたときは10数秒で反転するといった研究結果もあり、泣くことで一瞬にしてリラックスできる効果があるそうです。
【泣いてぐっすり】
思い切り泣いた後に疲労感を感じていつもより寝つきが良かったり、熟睡できたことはありませんか?先にお話しした通り、涙を流すことで副交感神経が働き、不安や緊張が緩和されます。また、感動した時などに流す涙には幸せホルモン・愛情ホルモンとも呼ばれるオキシトシンという成分が分泌され、脳の疲れを癒して心を安定させるため、結果として睡眠の質の向上につながるといわれています。
【泣いて苦痛の緩和】
涙の中には苦痛を和らげるエンドルフィンというホルモンも含まれています。エンドルフィンは脳内麻薬とも呼ばれ、多幸感と鎮痛・鎮静作用をもたらします。また、涙は心の傷を癒し、感情的な安定をもたらす役割も果たしており、涙を通じて自己調節機能が働き心のバランスを回復させる効果もあるとされています。
【泣いて免疫アップ】
笑うことで免疫力が上がることは知られていると思いますが、泣くことでも免疫力を左右するリンパ球が活性化し、体の中から病気の原因となるウイルスなどを撃退してくれます。またIgAという免疫物質の活動も高まり、目や口から侵入するウイルスなどの感染症にかかりにくくなるといわれています。
【大人も涙を流そう!】
年齢を重ねると子どもの時のように泣くことは少ないと思いますが、泣くことでこのような効果があると言われているため、悲しいことがあったときには我慢せずに泣いたり、泣けるドラマや映画を見てリフレッシュしてみてくださいね。
※むし歯のなかったお子さんは、本紙またはPDF版をご覧ください。
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