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「クリーンラーチ」栽培の全てを町内で 町森林組合と農協が連携

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北海道当麻町

4月1日、当麻農協の育苗ハウスで、マツの新種「クリーンラーチ」の台木の植え付け作業が行われました。
当麻町では、今年度から当麻町森林組合と当麻農協が連携し、育苗から町有林への植林まで、栽培に関わる全過程を町内で行う新たな取り組みが始まります。

全過程を町内で行うことのメリットは苗木の長距離運搬時による乾燥などを軽減できること、そして運搬にかかる二酸化炭素を削減できることにあります。
温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指す「ゼロカーボン北海道」の取り組みに貢献していきます。

■「クリーンラーチ」とは
戦後植林した人工林が本格的な利用を迎えている昨今、森林資源の持続的なサイクルを維持していくために開発されたのが「クリーンラーチ」です。いまから約50年前に、カラマツとグイマツのかけあわせによって誕生したクリーンラーチは、従来のカラマツより野ネズミの食害に強く、グイマツよりも成長が早いという特徴のほか、二酸化炭素の吸収する力が普通のカラマツよりも7~20%高いことから、地球温暖化防止の効果も期待されています。また、幹の直通性や材の強度にも優れていることから、造林に適した優良な樹種であるとして非常に注目を集めています。
さまざまなメリットがあるクリーンラーチですが、十分な供給には至っておらず、現在「さし木」と呼ばれる手法を用いた増産が全道で進められています。

■令和2年度の試験栽培を経て
当麻町でも令和2年度、当麻町森林組合に1000本の台木(種から育てたクリーンラーチの苗木)が分配され、臨床試験が実施されました。その時、増産の要となる「穂」の採取から幼苗の育成管理に協力したのが育苗ハウスをもつ当麻農協でした。造林用の苗木の育成に農協が関わるのは全国的にも例を見ない、当麻町独自の取り組みです。さし木による増産には、ビニールハウス内での温度・湿度・日照管理、水やりや肥料の追加などの育苗作業を、苗の成長に合わせて適切に行う必要がありますが、農協は林業試験場による技術指導のほか、これまで野菜や米などによって培ってきた育苗技術を生かし、無事に穂を採取することに成功。穂はセルトレーにさし付けされた後、養生室で管理され幼苗に、最終的には美瑛町の種苗業者に出荷され、約6000本の成苗(森に植え付けできる大きさの苗)を生産することができました。

■森林環境税を活用して
令和2年度の実績をもとに、今年度から本格的に始まるクリーンラーチの生産。今回も道から分配された1000本の台木を元に、穂を採取し、セルトレー内で根が張るまで育てる過程は当麻農協が協力します。前回と異なるのは、その後の生育。成苗になるまでの生育全てを当麻町森林組合が担います。森林組合の中村良伸さんにお話を伺うと、「今回は15000本の生産を目標としていますが、クリーンラーチは生育に関するデータが少ないため、かなり難しい栽培になるかと思います」と緊張の面持ち。今後は、開明地区に新たに整備するクリーンラーチ専用の育苗ハウスで、農協から受け取った幼苗をコンテナに床替えし、約1年半かけて成苗に育てた後、町有林に植え付けするそうです。
「コンテナ苗のメリットは、これまで課題となっていた植え付けコストを削減できること、また、人材確保が難しいとされている林業において、誰でも容易に植え付け作業ができることにあります。なんとか成功させ、今後は町内全体の造林に供給できるよう、クリーンラーチの増産を目指していきたいです」と、意気込みを話してくれました。
今回の取り組みには、市町村の森林整備などを目的に、令和6年度から新たに徴収が始まる国税「森林環境税」が活用されています。当麻町ならではの農林連携による森づくりの確立に向け、今後も支援を進めていきます。

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