中学校の部活動は、生徒がスポーツや芸術・文化活動に親しむ機会や、学級や学年を離れた集団の中で人間性や社会性を培い、責任感や自己肯定感を育てるなど、多様な学びを得られる場となっています。子どもたちの学校生活を、豊かで充実したものにするもののひとつです。
そんな部活動のあり方が、少子化や教職員の働き方改革の影響を受け、変わろうとしています。令和4年12月、国から、部活動を学校から切り離し「地域移行」させていく方針が示されたのです。
今月の特集では、部活動の「地域移行」の概要と「地域移行」を見据えて、恵庭市が現在取り組んでいることなどを紹介します。
■部活動における課題
現在、少子化による生徒数の減少から、子どもたちがやりたい部活動が学校になかったり、部員が足りずに試合に出場できなかったりするなど、学校単位での部活動の維持が問題となっています。
また、教員の長時間労働は、中学校でさらに深刻化しており、部活動の指導が教員の大きな負担となっていることも事実です。働き方改革による、教職員の負担軽減も重要視されています。
▽道内公立中学校の部活動数の推移(2015~2022)
■部活動の「地域移行」
そのような中、令和4年12月に国から、中学校の教職員が担ってきた部活動の指導を、地域のクラブや団体などに移行する方針が示されました。
この方針では、令和5~7年度までの3年間を「改革推進期間」と位置づけ、「学校部活動の地域移行」を重点的に行うこととしています。
まずは休日の部活動から段階的に地域移行を進めることを基本とし、平日の環境整備はできることから取り組むことに。
また、すぐに地域クラブ活動への移行が困難な場合には、学校部活動の地域連携として、必要に応じて合同部活動の導入や、地域の協力を得て、部活動指導員や外部指導員を配置するなど、地域の実情に応じて段階的な体制整備を行うことが示されました。
◆部活動の地域連携って?
近隣の複数の学校が合同で実施する合同部活動の導入や、部活動指導員などの地域の人材を活用することにより、あくまで学校で運営・実施しつつも、子どもたちの活動機会を工夫しながら確保するものです。
◆部活動の地域移行って?
地域の多様な主体が運営・実施する地域クラブ活動によって、部活動を代替するものです。学校とも連携しながら、多様な活動を実施します。
◆地域連携と地域移行はどこが違うの?
▽部活動の地域連携
近隣の複数の学校が合同で実施する合同部活動の導入や、地域の人材を活用した部活動指導員の活用により、学校での部活動を維持継続する取り組み
↓地域の実情に応じて段階的に移行
▽地域移行(地域クラブ活動)
学校部活動の代わりに、地域の実情に応じて、恵庭市や団体などが運営する「地域クラブ活動」に子どもたちが参加し、多様な活動を行う形態
■地域移行のメリットとデメリット
それでは、部活動の地域移行には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
それぞれ次のようなことが考えられるとされています。
◆地域移行のメリット
▽学校の枠にとらわれず、好きな活動を選ぶことができる
部活動のメニューが減少してきている現在、関係団体や指導者・部員数を確保することができれば、活動のメニューが広がります
▽専門的な知識や技術を持った指導者から指導を受けることができる
地域クラブに属する専門的なコーチや、公募による地域の専門家の指導を受けることができるようになります
▽教員の負担軽減
部活動に要する勤務時間を減らすことができ、勤務負担を減らすことができます
◆地域移行のデメリット
▽適任の指導者や活動場所の確保が難しい
地域に適切な指導者がいない、活動場所がない可能性があります。地域差が著しく、特に人口の少ない地域では、困難な場合が多いと考えられます
▽子どもたちの居場所が減る
学校の友達との付き合いや、放課後・週末の時間を過ごすために、部活動をしている子どもたちもいます。そのような子どもたちの、大切な居場所がなくなってしまう可能性があります
▽活動費や送迎など保護者の負担増
地域クラブへ移行した場合、クラブ費の負担が発生します。また、活動場所が遠方の場合、保護者の送迎や公共交通機関の運賃が発生します。家庭の経済状況によっては、参加できなくなる可能性があります
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