緊急事態というのは、いつどのような時にやってくるか分かりません。皆さんの命を守る救急車。一刻を争う状況に置かれた命を救うには、必要な人のところへいち早く救急車と救急隊員が向かわなければなりません。
本当に必要としている人のもとへ出動するため。救急車の適正利用について一緒に考えてみませんか?
◆急増!応答のない119番通報
最近、119番通報の発信があったが、応答すると無言で電話が切れるといったことがよくあります。
この原因は、スマートフォンやスマートウォッチの機能として、激しい衝撃を受けたときに衝突事故を検出し、簡易的に119番が発信されることが関係していると考えられます。機種によっては、一定時間操作が無い場合、119番に自動通報が行われ、端末の位置情報が知らされます。
激しい衝撃は、車の衝突事故だけではなく、スポーツなどによる衝撃や落下による衝撃などによっても検出されます。
救急車などが必要ないのに119番が発信された場合には、電話を切らずに「間違えた」と伝えましょう。この確認が取れないまま放置されてしまうと、救急出動準備が行われ、本当に必要な人のもとへ向かうのが遅れてしまう原因となります。
◆恵庭市の救急車・救急隊員の状況
現在、市では4台の救急車を保有しています。うち1台は、非常時のみ運用し、日々の災害には3台の救急車で対応。消防署(有明町)、島松出張所(南島松)、南出張所(和光町)の3署所にそれぞれ1台ずつ配備されており、限られた台数によって市内全域をカバーしています。
救急車に乗って現場へ向かう救急隊は、常に3名以上で編成され、うち1名以上は、医師の指示の下に救急救命処置を行える「救急救命士」が乗車することになっています。救急隊は、24時間365日、いつでもあらゆる災害に対応できるように、勤務・訓練をしています。
◆よく考えよう! その119番通報、緊急ですか?
救急車は、本当に必要としている人のために1秒でも早く向かわなければなりません。しかし、近年では緊急を要しない通報も少なくなく、事故による大けがや命に関わる病気などの救急車を本当に必要としている重症な人への対応の遅れにつながります。
恵庭市における令和5年の救急出動は3,249件。5年前と比べると、825件の増加となっています。また、入院加療を必要としない「軽傷件数」は1,094件、救急隊到着後の搬送辞退や自家用車での病院受診を選択する「不搬送件数」は692件と、年々増えているのが現状です。
救急車を本当に必要としている人のためにも、救急車の適正利用について、いま一度考える必要がありそうです。
◆119番通報の一部を紹介 本当に救急車が必要でしょうか?
これまでもさまざまな119番通報がありましたが、中には「本当に救急車を必要としているのか?」と疑問に思える通報があるのが実態です。下記に通報内容の一部を抜粋して紹介します。内容を見て、皆さんは救急車が必要だと感じましたか?
・蚊に刺されてかゆい
・病院の通院日なので連れて行ってほしい
・歯が痛くて寝られない
・薬が切れたので病院まで連れて行ってほしい
・1週間前から膝が痛くて、病院に行きたい
◆こんなときは? 迷ったときはアプリで確認
ここまで救急車の適正利用について紹介してきました。ただし、「突然の激しい頭痛」、「胸の痛み」、「急な息切れ」、「呼吸が苦しい」など、いつもと様子が違う症状が出た場合はためらわず119番通報をしましょう。
もし「このような症状で救急車を呼んでいいかわからない……」と迷った場合、消防庁が提供している救急受診アプリ「Q助」を利用してください。当てはまる症状を選択していくと緊急度の目安を4段階で判定。その症状について受診できる医療機関や移動手段などの情報を検索することも可能です。子どもの急病の場合は小児救急電話相談「#8000」に電話すると、小児科医・看護師が相談に応じてくれます。
・迷ったときは「Q助」を活用しましょう。緊急度の目安を教えてくれます。
■救急車の適正利用に協力ください!
救急車を呼んだほうがいいか、迷ってしまうことがあるかと思います。そんなときは、119番通報して、はじめに状況を説明してください。消防指令センターの指令員が、救急車の必要性を判断し、対応します。なお、自身で病院受診できそうなときは、当番病院などに症状を伝え、診てもらえるか確認してください。
救急課 担当 渡邉梨香
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