◆学校から地域へ
現在、学校部活動は学校教育の一環として、スポーツ・文化芸術に興味・関心のある生徒が参加し、活動が行われています。生徒の体力や技能の向上を図ることはもちろん、生徒同士や、生徒と教員との好ましい人間関係を構築し、学習意欲の向上や自己肯定感、責任感、連帯感を養うなど、学校という環境における生徒の自主的で多様な学び場として、教育的意義を有してきました。
しかし、近年は少子化の影響から生徒数が減り、部活動入部者数も減っているため、部活動の運営、さらには部活動の存続自体が難しくなっている地域や学校が全国に存在します。
将来にわたりスポーツ・文化芸術活動の場を確保するためには、部活動の在り方を改めて検討する必要があるとして、部活動の地域への移行の取り組みが全国的に始まっています。
生徒や保護者に十分配慮しつつ、地域と学校の連携・協働により、持続可能な部活動の環境を整備することが必要です。
◆部活動の現況
新得町で活動をしている部活動数はスポーツ活動・文化活動を合わせて8つあります。基本的には、学校単独で編成しておりますが、陸上部のように、屈足中学校の生徒が新得中学校の活動に参加していたり、野球部のように近隣町の清水町・鹿追町と合同チームを編成して活動を行っている部活動もあります。
また、平時は学校に部活を設置しておらず、普段の練習を他校や外部のスポーツクラブ、道場、個人で活動し、大会に出場する場合には、担当の顧問を置き、大会引率を行う、設置外部活動と呼ばれる部活動もあります。
その他、町内学校に希望する部活動が無い場合、拠点校方式部活動と呼ばれる方法により、他町の学校で部活動を行う生徒も存在し、出来るだけ生徒の希望が叶うよう、対応している状況です。
▽スポーツ
・サッカー部(新得中)
・陸上部(新得中・屈足中)練習は合同で実施
・バドミントン部(屈足中・富村牛)各校単独で編成
・野球部(新得中)清水中・鹿追中と合同
▽文化
・吹奏楽部(新得中)
・総合文化部(新得中)
・文化部(屈足中)
▽その他
・設置外部活動…柔道、スキー、クロスカントリースキー、スケート
・拠点校方式部活動…バスケットボール
◆地域移行に向けた取り組み
新得町では、令和5年度から部活動の地域移行に向けた取り組みを進めています。令和5年7月19日にNPO法人幕別札内スポーツクラブマネージャー・小田新紀氏を講師に迎え、「中学校部活動の在り方」に関する説明会を開催し、教育関係者・保護者ら約40人が参加しました。
小田氏より地域移行の実践例や課題をテーマとして講話があったほか、新得町教育委員会から、(1)学校関係者・保護者・文化スポーツ団体による地域移行に向けた推進組織である準備会を設置すること、(2)児童生徒、保護者アンケートを実施すること、(3)町内関係団体、部活動指導教諭との意見交換の場を設置し、実態把握に努めることなど、今後の取り組みを示しました。
今年度設置した「中学校部活動地域移行準備会」は現在までに計3回開催され、地域移行を目指す上で、検討すべき課題や対策の洗い出しを行いました。
令和6年度以降は検討会を設置し、「中学校部活動地域移行準備会」で整理した課題(下記参照)をもとに検討する予定となっており、令和7年度を目標に、地域移行の環境が整った部活動から順次移行を図っていきます。
今まで部活動が果たしてきた役割を発展させ、地域でのさまざまな体験や、幅広い世代との交流を通じた学びなどの新しい価値を創ることで、子どもたちの「やってみたい」をかなえられるよう検討していきます。
▽検討会による検討項目
・新種目の設置
・移動手段
・月謝(会費)
・指導者の質の確保
・団体の質の確保
など全11項目
↓ 検討・議論
▽地域移行の目指す姿
・子どもたちの意見をできるだけ叶える
・町内の体験格差の解消
・持続的な運営
※少年団との連携・統合
※拠点校部活動・合同チーム
◆部活とわたし
▽新得中学校2年 湯浅 導大さん(野球部主将)
私は兄の影響で小学1年生の時に、少年団で野球を始めました。中学1年生の時に3町合同チームになり、練習や試合を他町の生徒と共に行うようになりました。野球はチームスポーツなので、他町の生徒とコミュニケーションが密に取れないことは難しい点ではありますが、互いに協力し、同じ目標に向かって、頑張ることで感じられる楽しさや達成感、仲間への深い信頼感が、部活動では得られるため、私にとって、とても大切な活動です。
また、送迎の対応があることで、自分のやりたい活動を行えているので、親の送迎はもちろん、町の送迎支援についても、本当にありがたいと感じています。
▽新得中学校2年 花房 慶人さん(バスケット部)
私は小学校3年生から小学校卒業まで少年団でバスケットをやっていましたが、新得中学校の部活にバスケットがなかったので、野球部に入部しました。その後、鹿追中学校で拠点校方式部活動という方法により、バスケットができるということを聞き、すぐに転部を決めました。
部には鹿追町と清水町の生徒が所属していますが、団体スポーツの楽しさが得られると同時に、違う学校の生徒と交流することによって、地域性の違いや、考え方の違いを互いに共有できるので、様々な人たちと関わりが持てる部活動は私には必要なものです。
学校、親、様々な人たちの協力のおかげで、自分が一番やりたいバスケットが出来ていて、非常にありがたいと実感しています。
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