◆屈足消防団100周年
屈足消防団は大正13年55月に私設屈足消防組として創設されてから、今年で100周年を迎えます。「自分たちのまちは自分たちで守る」という思いは、創設から100年後の今でも団員に受け継がれ、日々活動しています。
今号は屈足消防団について特集します。
◆消防団とは
住民により組織される市町村の消防機関で、普段、それぞれ仕事を持っている団員は、火災や災害が発生すると自宅や職場から消防署へ駆けつけ、消防車に乗車して現場へ出動します。
江戸時代、鳶(とび)職の人たちは火事が起きると「火消(ひけし)」に早変わりして地域を守りました。この「火消」が消防団のルーツになっています。
◆屈足消防団の記憶〜屈足消防団を代表する方々にお話を聞きました〜
○(進行役)森本 哲矢消防署長
平成元年入職。令和4年度より新得消防署長就任。
○十代消防団長 竹浦 隆さん
昭和44年入団。平成18年8月から令和4年7月まで消防団長を務める。
○十一代消防団長 安久津 充政さん
昭和62年入団。令和4年8月より消防団長に就任。
○屈足消防団後援会長 佐藤 良一さん
昭和40年入団。平成18年8月から平成23年3月まで消防副団長を務め、現在は後援会の会長。
▽入団のきっかけ
[森本]屈足消防団は、大正13年5月に私設消防組として創設してから100年が経過しました。初代組頭の澤井増太郎氏は竹浦さんの祖父とお伺いしましたが、当時の様子を聞かれたことはありますか。
[竹浦]その頃は、屈足地区の人口が増加してきて、ボヤや火災が頻繁に起こっていた時期でした。「まちは自分たちで守る」という考えで、祖父である澤井氏が中心となって消防団を立ち上げたと聞いています。
[森本]佐藤さんは消防団への入団が昭和40年、竹浦さんの入団は昭和44年と伺っております。両名ともに、屈足消防団の歴史の半分以上を把握されていると思いますが、入団したきっかけはどのようなものだったのでしょうか。
[佐藤]当時の消防団長が「入団してくれないか」と直接依頼があったことがきっかけです。私の仕事が鍛冶屋で、火を扱う仕事でしたので、喜んで入団しました。
[竹浦]私はすでに団員として活動していた父に勧められて入団しました。そのため団員としての系譜は祖父、父、私の3代続いたことになります。
[森本]安久津さんは昭和62年の入団ですが、入団時にはお父様である安久津哲雄氏が8代目の屈足消防団長を務めており、親子2代での消防団長となりますが、入団当時の思い出をお聞かせください。
[安久津]消防団については、父から話を聞いていたので、そこまでイメージのギャップはありませんでしたが、思っていた以上に団員全員の熱意が高いと感じ、今後やっていけるか不安に思ったことを覚えています。
▽火事の記憶
[森本]記録によると昭和40年代から50年代にかけて屈足地区において火災が頻発しておりますが、昭和49年に屈足市街地で2棟3戸が焼失した火災について教えてください。
[佐藤]消火活動中は、燃え盛る火の勢いで寒さを感じなかったのですが、消火活動中に刺し子がずぶ濡れになっていたので、鎮火するにつれ、凍えるほどの寒さを感じました。周りの施設も全て燃え落ちていたので、大きな火事だったと記憶しています。
[安久津]私は当時小学生だったのですが、火災現場に出動していた父が、消火活動中に自宅に戻ってきて、「風が強く、火が周辺に燃え移る危険がある、避難しろ」と伝えにきて、そこから親戚の家に避難した記憶があります。
[森本]昭和57年11月には木工場の大きな火災がありましたが、こちらも過酷な現場だったという記録があります。
[佐藤]現場に到着した順番で、消火の仕事が決まるのですが、到着が比較的早かった私の仕事は、放水でした。ホースを持ったら最後、なかなか代わってもらえず、ホースの重さと水圧の強さに長時間耐えることは大変だったことを覚えています。
▽消防操法訓練大会
[森本]昭和59年には、北海道消防操法訓練大会のポンプ車操法の部に出場してますが、竹浦さんと佐藤さんは出場されたのですか。
[竹浦]出場しました。この大会は全道の消防団が、日々の訓練の成果を競い合う大会で、当時の競技内容は、消火ホースを伸ばして放水準備をするなどの、実践的な内容が主でした。
[佐藤]大会前には定期訓練の他にも、体力作りとして毎日朝6時くらいから歩くスキーを行っていました。
[森本]平成11年7月には屈足消防団として2度目となる北海道消防操法訓練大会ポンプ車操法の部に出場し、準優勝を果たしています。当時の思い出をお聞かせください。
[安久津]大会前は、走り込み、筋力トレーニングなど、相当鍛えました。私は大会前に怪我をして、本番当日まで万全ではなかったですが、準優勝という良い結果を残すことができて、安心した記憶があります。
▽活躍する女性団員
[森本]平成8年4月には女性消防団員6名が入団しました。現在は9名まで団員数が増加し、屈足消防団にとって、なくてはならない存在になっています。
[竹浦]女性団員は、一人暮らしの老人宅を訪問して、火の元の注意喚起をしています。女性だとお年寄りも安心感が出るので女性団員は防火・防災の陰の立役者と感じています。
[森本]仮装盆踊りへの参加等、ボランティアで防火・防災の啓発にも当たっていて、独居老人が増えている現在、本当にありがたい存在ですよね。
[佐藤]今となっては男性団員を凌ぐほど女性団員が活躍しています。
▽消防団のこれから
[竹浦]有事の際には、例え仕事の途中であっても、サイレン吹鳴と同時に出動することとなり、消防団活動は、家族の理解と協力なしには務めることはできませんでした。
屈足消防団はこの間、団員の皆さんと一丸となって活動を行ってきました。消防団の活動以外にもプライベートで親交を図っていることから、チームワークには自信があります。これからも、団員全員で力を合わせて、活動を頑張ってください。
[佐藤]後援会の役割としては、より良い団活動のため、消防団をサポートすることです。私自身が消防団活動をしていたので、どのようなサポートが適切かがわかります。
例えば、夏の暑い日には飲み物、冬の消火活動で長引くようなら、おにぎりやパンを準備する等の段取りが、すぐに想定できます。今後も消防団と連携しながら、バックアップをしていきたいと考えています。
[安久津]今まで築き上げてきた伝統を守りつつ、期待を裏切らないよう、消防団一丸となって地域の安心・安全を第一に活動していきます。
また、今後も継続して活動していくために、団員を随時募集しています。興味がありましたら、消防団に入団して、一緒に地域の安全・安心のために活動しましょう。
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