「忘れていく」を理解して生きていく
◆国内の認知症の状況
今年5月に厚生労働省は、令和22年に認知症の患者数が全国で約584万人にのぼると発表しました。今後、認知症患者の割合は、65歳以上の高齢者の約15%に達すると見込まれ、新得町の現在の人口に置き換えると約300人に相当します。加えて65歳未満にも若年性認知症の方がいると考えると、日常生活の中で認知症の方と接する機会が、今後もっと増加すると思われます。
認知症の方の生活の支障や困り事は人によって異なりますが、そのほとんどは周囲の支えで改善することができると言われています。今まで認知症のことについて考える機会がなかった方も、「自分事」として捉え、考えてみましょう。
◆認知症についてお話を聞きました教えて!坂井先生!
▽どんな病気?
認知症とは、脳の病気や障害など、さまざまな原因により、周囲の状況を把握したり、判断する能力が衰えていき、およそ6ヶ月以上継続して、社会生活全般に支障が出ている状態のことをいいます。
症状はもの忘れから発症することが多く、ゆっくり進行する場合もあれば、急速に進む場合もあります。その他の症状として、手足が震えたり歩幅が小刻みになって転びやすくなる症状や、現実には見えないものが見える幻覚など、行動や心理にも症状があらわれることがあります。
▽認知症になりやすい人はどんな人?
具体的には「何事も熱心ではなく、ダラダラと生活をしてきた人」、「勉強や仕事一筋で趣味やスポーツに無関心だった人」、「人付き合いが少なく親しい友人のいない人」などが挙げられます。
▽人生を主体的に生きる それが大事
高齢になり、もの忘れが徐々に出てくるのは人間なので当たり前ですが、そのせいで自信を失い、外出せず引きこもることはかえって逆効果です。大事なのは、生きがいや楽しみを持ち、自分自身が何をしたいのかを日常的に考え、夢中になれるもの、取り組めるものを見つけることです。何かに打ち込み、脳に刺激を与えることで、認知症の進行を遅らせることも望めますので、自分の人生を主体的に生きることが非常に重要です。
坂井 敏夫 医師
医療法人社団博仁会 大江病院
住所:帯広市西20条南2丁目5番3号
【電話】0155-33-6332
◆ひょっとしたら認知症?チェックリスト
(1)財布や鍵など、ものを置いた場所がわからなくなる
(2)5分前に聞いた話を思い出せないことがある
(3)周りの人から「いつも同じ話を聞く」と言われる
(4)今日が何月何日かわからないことがある
(5)言おうとしている言葉がすぐに出てこないことがある
(6)貯金の出し入れや、支払いなどが一人でできる
(7)一人で買い物に行ける
(8)バスや電車、自家用車などを使って一人で外出できない
(9)自分で掃除機やほうきを使って掃除ができない
(10)電話番号を調べて、電話をかけることができない
20点以上だと、認知機能や社会生活に支障が出ている可能性があります。
▽計算方法
上の質問を読み、自分に当てはまるものを下記から選び、計算してください。
(1)〜(5)まで
全くない(1点)
ときどきある(2点)
頻繁にある(3点)
いつもそうだ(4点)
(6)〜(10)まで
できる(1点)
大体できる(2点)
あまりできない(3点)
できない(4点)
◆自分の人生を楽しく生きる 潜入!「わすれん塾」
楽しく認知症予防「わすれん塾」
閉じこもりを防止し、認知症予防対策の一環として、介護予防の必要性がある方々を対象に、多くのボランティアの協力を得ながら、屈足地区(火曜日)、新得地区(水曜日)の2箇所で開催しています。
活動内容は、軽い体操を中心に歌や三味線、講師を招いた講習会など豊富なメニューで楽しいひと時を過ごしています。
▽利用者の声 成田春子さん
高齢になるにつれて、日常生活上の悩みが増えてきたので、保健福祉課の職員の方に相談しているうちに、「わすれん塾に参加してみてはいかがですか」と誘われたことが、参加のきっかけです。
私はそれまでサークル活動に参加していなかったのですが、実際に入ってみると、日常の様々な悩み、わからないこと、気になることなどを気兼ねなくお話しできるので、良い情報交換の場となっています。
外に出ないと、自分の身の回りの事しかわからなくなるので、「わすれん塾」のような、様々な方から意見をいただける場を設けてもらい、本当にありがたいと感じております。
問い合わせ先:保健福祉課在宅支援係
【電話】64-0533
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