2019年にユネスコ創造都市ネットワークに加盟した旭川市。統一感を持ったデザインで情報を国内外に広く効果的に伝えていくことで、市のブランド力やシビックプライド※の向上に繋げるため「旭川市デザインシステム」を導入します。今回は、取組みを統括する方の思いなどを紹介します。
※市民が都市や地域に対して持つ誇りや愛着。
(1)パーツ
旭川の象徴である(きしょう)をベースにデザインシステムの基となるデザインや要素を整理。これらのパーツを組み合わせることで様々な展開を表現
(2)色の組み合わせ
徽章の色に由来する基本の5色、市の四季をイメージした8色の計13色を組み合わせて使います
(3)文字のフォント
印刷物などのフォントも統一します
■そもそも旭川市デザインシステムって何?
象徴的なモチーフを基につくられたデザインのルールと仕組みです。
このシステムを使うことで市や関係団体の発信、行政サービスが、より統一感を持って展開されます。今回導入するシステムでは、組み合わせて使うパーツ、使用する文字の色の組み合わせやフォントを定めました。
パーツを組み合わせて様々なものに使用していきます(イメージは本紙参照)
■誰もが旭川に愛着を持てるきっかけをデザイン
旭川市デザインシステムの導入の取組みを統括する石川俊祐チーフデザインプロデューサー(CDP)に、このシステムに込めた思いなどを聞きました。
▽デザインシステムに込めた思いは?
デザインシステムを取り入れている都市は、日本はもちろん世界でも多くはありません。
しかし、イギリスのロンドンやノルウェーのオスロのように、こうしたシステムを活用して、国旗や徽章を基にデザインして配置するほか、特徴的なマークやパターン、色彩でまちを印象付けることに成功している都市もあります。
CDPとして旭川のことを知るうちに、多くの魅力があることに気付いていきました。それらをデザイン創造都市として市民、国内外に伝えていくためにはどうあるべきかを考えました。
それには、統一感を持った発信が大事だと考えます。そのために、1つのマークを使い続けるという方法もありますが、それだと受け取る側も疲れてきてしまうし、発信する側も楽しめないですよね。それらを両立させるべきだという思いでいました。一貫性を持ちつつも、柔軟性があるデザインの手法としての答えが、旭川市のシンボルである徽章にありました。
多くの市民に認知され、市民の誇りとも言える星型の徽章を基にした新たなデザインを作り、さらにパーツに分解したものを様々な形で組み合わせて発信していく。このように、もともとある誇り高い徽章と、そこから生まれた新たな独自性を併用していくことで、統一感を持ちながら発信ができると考えています。
▽デザインシステムが浸透したまちの姿は?
生活に根ざしたデザインを皆さんが感じ、一つ一つは点としてあるデザインシステムが、予測できない面となって、有機的に広がっていってほしいですね。
その結果、旭川がロンドンのように統一された印象で、誰もがまちや思い出を連想して共有できる、いわば「気持ちのデザイン」が創造されている。そして、数少ないデザイン創造都市として世界に認められ、国内外に誇ることのできる「旭川ブランド」が確立していることを望んでいます。
▽旭川市デザインシステムに携わるチーフデザインプロデューサー 石川俊祐(いしかわしゅんすけ)さん
1977年生まれ。ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ卒業。パナソニックデザイン、IDEO Tokyo(アイデオトウキョウ)等を経てKESIKI(ケシキ)を設立(現代表取締役CDO)。
Forbes Japan(フォーブズジャパン)「世界を変えるデザイナー39」選出など日本を代表する「デザイン思考」の実践者であり、デザイン経営のトップランナー。書籍に日本人のデザイン思考と創造性を解いた『HELLO,DESIGN日本人とデザイン』がある
詳細:産業振興課
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