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文化財のひろば・シリーズ162

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北海道森町

■鷲ノ木遺跡(ストーンサークル)の整備・後編
鷲ノ木遺跡の整備は、保存状況を改善し、遺跡を見やすく、よりわかりやすくする作業を行うものです。
鷲ノ木遺跡の価値の一つは、祭祀や儀礼を行ったと考えられる環状列石(ストーンサークル)です。約4,000年前にこの石にさわり、持ち運び、並べた人たちの姿や思いが感じ取れるよう、実際に並べられたままの石を公開できるよう検討しています。
環状列石をよく見ると、平坦な石を横に立てて縁石のように並べている部分、大きな石を立てて埋めている部分等が見られ、単純に石を円形に置いただけではないということがわかります。石は付近の河原(桂川)から、距離約1km、高低差70mほどもある台地の上まで運び上げています。その数602個を、どのような思いで選び、持ち運び、設置したのかを考えると想像が広がります。
環状列石の近くにある墓(竪穴墓)も大事な要素です。墓は、10m前後の楕円形に地面を浅く掘り窪め、その中に1~2mの円や楕円形の穴を掘り埋め戻したもので、7カ所が確認されています。亡くなった人を埋葬する大切な場所です。墓は地面を掘った穴なので、そのまま公開するとすぐに崩れます。墓は保存のために埋めたうえで、墓の特徴を示す公開方法を検討しています。
環状列石がある場所からは駒ケ岳を望むことができます。11月の初め頃、初雪が積もり、寒い冬が始まる頃には山頂からの朝日を見ることもできます。
今は立木が茂り駒ケ岳を見ることはできませんが、伐採や枝を間引きし、縄文人が見た風景に少しでも近づけたいと考えています。
森町の鷲ノ木遺跡は縄文の人々の生き方を今に伝える遺跡であり、人類の文化や歴史に思いをはせることができる魅力的な場所です。遺跡を保存し、その魅力を未来に伝えるための整備にこれからも注目してください。

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