◆予防できる病気
皆さんは身近な人や芸能人が突然倒れ亡くなってしまったとき「突然死」と言う言葉が浮かびますか?「突然死」とは事故や自殺などではなく、なんらかの病気で発症から24時間以内に死亡する場合を言いますが、実は発症するまでには10~20年ほどの期間に、なんらかの経過をたどる場合が多いことが分かっています。
下記の図をご覧ください。これは57歳で心筋梗塞を発症したAさんの経過図です。若い時から肥満があり、年齢を重ねると共に健診結果で有所見が1つ、また1つと増えていきました。しかし、特に自覚症状はなく「年を取ればこんなもんだ」と、Aさんは何もしませんでした。ついに51歳からは心電図検査で異常を指摘されるも、まだ自覚症状がなく変わらず生活します。そしてAさん57歳のある日、突然胸の痛みを感じ救急車で搬送され、心筋梗塞と診断されました。
図:Aさん・57歳/心筋梗塞
(参考)生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会資料より
▽Aさんは心筋梗塞を予防できた?
Aさんの経過は珍しいものではありません。心筋梗塞や脳梗塞を起こす方の多くがこのような経過をたどります。ではAさんは心筋梗塞を予防することは可能だったのでしょうか?
心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患は、内臓脂肪型肥満から始まり、高血圧、高血糖、脂質異常症とリスクが重なってメタボリックシンドロームとなり、動脈硬化が進むことが発症の最大リスクです。1歳でも若く、1つでも有所見が少ない時に生活習慣を改善し、必要な治療を開始していれば発症せずに済む可能性がとても高かったと言えます。
▽予防のチャンスに気づくことが大事
Aさんは会社で毎年健康診査を受診していたため、このような経過を知ることでき、予防のチャンスが沢山あったことがわかりました。もし一度も健康診査を受けていなかったら、自覚症状も無いため予防のチャンスを知ることもなく、ある日突然57歳で心筋梗塞を起こしていたことになります。もし亡くなってしまえば、それは一般的に「突然死」と呼ばれるかもしれません。
▽大きな損失、大きな負担
心筋梗塞や脳梗塞は働き盛りに突然発症することも多く、死を免れたとしても社会的損失が大きい病気です。後遺症や介護につながることも多く、本人や家族の負担が大きいばかりか、医療費・介護費など社会的負担も大きくなります。しかしこれらは予防できることが多く、その入り口には毎年健康診査を受診し、予防のチャンスを見逃さず、必要な治療を受けることが重要です。
標津町保健福祉センター 栄養指導担当
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