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第5回 3者会議だより

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北海道標津町

川を守り、山と海をつなぐ

◆流域草地緩衝帯地質改良事業(草地草刈事業)中間報告会
令和5年度の新規事業として実施した「流域草地緩衝帯地質改良事業(草地草刈事業)」について、今年度の調査結果に関する中間報告会を、1月24日、生涯学習センターあすぱるで開催しました。
この報告会は、「産業環境に関する懇談会」との共同開催で、町内外の関係団体から30人が参加し、事業の効果を共有しました。
本事業は、牧草地に隣接する河畔林の下草を等間隔で筋状に刈ることで、土の酸欠状態を改善し、河畔林の緩衝機能の回復を図るものです。令和5年7月14日に古多糠地区の牧草地をお借りし、3者会議構成団体から27人が参加して草刈りや採土、酸素測定を実施しました。
報告会では、3者会議技術アドバイザーで、岩見沢農業高等学校教諭の佐々木章晴氏より、土壌分析および近隣河川の水質分析の結果、改善の傾向が見られ、今後は、草地の植生および河畔林の状況を、継続観測していきたいと報告がありました。
今回の報告結果を踏まえ、3者会議では令和6年度以降の事業実施内容について協議・検討を進めていきます。

▽報告要旨「土壌分析および近隣河川の水質分析」
根室地域では、草地へ過剰に散布された化学肥料や家畜糞尿混合液肥(スラリー)により、土壌の酸欠状態(グライ化)が進行している。また、大量に供給された硝酸態窒素は土壌のアルミニウムを溶出させ、牧草や樹木の根に悪影響を及ぼしている。これらの影響で牧草の生産量が減少するだけでなく、土壌に収容しきれなくなった硝酸態窒素が河川に流入し、河川の水質を悪化させている。
そこで、草地に隣接する河畔林で草刈を実施することにより、空気と水の通り道を作り、グライ化を解消することで、化学肥料やスラリーの使用量を減らしても、牧草生産量を減らさずに済むことを目指し、本事業を実施した。事業実施後の土壌分析の結果、酸化還元電位の改善および、硝酸態窒素の減少を確認した。また、土壌有機物が分解されていることが示唆された。
草地に隣接する河川では、酸化還元電位と可溶性アルミニウム濃度は改善したが、硝酸態窒素は増加した。これらの結果から、草刈りの効果でグライ化が改善して土壌中の水の移動がスムーズになり、硝酸態窒素が河川に速やかに移動していると考えられる。また、土壌の硝酸態窒素が低下することで、土壌アルミニウムの溶出を防ぐことができ、牧草の生育状況が改善することが期待される。今後は、減肥しても牧草生産量の維持ができ、河川の硝酸態窒素が減少することを検証したい。
草地の植生や河畔林の状況は、継続した調査が必要である。草地の雑草が減少し、河畔林の下草の高さが継続して低くなれば、今回の事業の大きな成果と言える。

▽ポイント
・草刈の結果、グライ化が改善し地下水の移動がスムーズになった。
・土壌アルミニウムの溶出を防げれば、牧草の生育が改善し、減肥できる。
・減肥により流出する硝酸態窒素も減少し、河川水質が改善する。

水産課水産担当
【電話】85-7245

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