高齢になっても意思が尊重され、尊厳を持って生活することは誰もが望むことです。
しかし、高齢者が家族や親族などから暴力を受ける、金銭を搾取されるなど人権を侵害される「高齢者虐待」が社会問題となっています。
■虐待行為とは…
高齢者虐待には次の5つがあります。
▽身体的虐待
暴力的行為などで、身体にあざ、痛みを与える行為や外部との接触を意図的、継続的に遮断すること。
具体例:つねる、殴る、蹴(け)る、無理やり食事を口に入れる、やけど・打撲をさせる、ベッドに縛り付けたり、意図的に薬を過剰に服用させたり、身体拘束、抑制をするなど。
▽心理的虐待
脅しや侮辱などの言語や威圧的な態度、無視、嫌がらせ等によって精神的、情緒的苦痛を与えること。
具体例:怒鳴る、ののしる、悪口を言う。話しかけているのに意図的に無視をする。失敗などを嘲笑(ちょうしょう)したり、人前で話し高齢者に恥をかかせるなど。
▽性的虐待
本人との間で合意が形成されていない、あらゆる形態の性的な行為またはその強要をすること。
具体例:排泄(はいせつ)の失敗に対して懲罰的に下半身を裸にして放置するなど。
▽経済的虐待
本人の合意なしに財産や金銭を使用し、本人の希望する金銭の使用を理由なく制限すること。
具体例:日常生活に必要な金銭を理由なく渡さない、使わせない。本人の財産などを無断で売却する。年金や預貯金を本人の意思や利益に反して使用するなど。
▽介護や世話の放棄・放任(ネグレクト)
意図的であるか、結果的であるかを問わず、介護や生活の世話を行っている家族が、高齢者を衰弱させるような著しい減食または長時間の放置、養護者以外の同居人による虐待行為の放置など、養護を著しく怠ること。
具体例:入浴させず異臭がしたり、髪が伸び放題、皮膚が汚れている。水分や食事をじゅうぶん与えられないことで、空腹状態が長時間続き脱水症状や栄養失調状態にある。室内がごみだらけなど劣悪な環境で生活させるなど。
また、法的な定義には入れられていませんが、『セルフネグレクト(自己放任)』と呼ばれ、介護や医療サービスが必要な状態であるにも関わらず、支援やサービスの利用を拒み続ける高齢者も多く見られます。
これらのかたがたは、衣食住の管理が自分でできず、体調不良や認知症が進み、孤独死につながる危険性を含んでいます。
■高齢者虐待を防止するために
高齢者虐待は家庭の中で起こることが多く、虐待をしている人はその認識がなく、また虐待されている人も家族をかばったりして発見が難しいのが現状です。高齢者虐待を防止するためには、早期発見・早期対応が極めて重要であり、社会全体で高齢者を見守ることが大切です。虐待かな?と感じることがあれば迷わずご連絡ください。また、介護者は介護を一人で抱え込まず、専門家に相談したり、介護サービスを利用するなど、日ごろの介護負担を軽くしましょう。
連絡先・相談窓口:保健介護グループ(市役所2階)【電話】74-6616
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