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特集 あなたらしく、笑顔あふれる毎日に―認知症とともに生きる―(4)

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北海道江別市

◆Interview.2 ―認知症とともに― みんなで笑えばいいじゃない
富田トモ子さんは、3年ほど前に認知症と診断されました。認知症の診断を受けてからも、「人を笑顔にしたい」という気持ちから、認知症地域支援推進員と協力し、チームオレンジの一員として「にりんそうの集い」を開催しています。

認知症当事者:富田 トモ子さん
トモ子さんの夫:富田 俊治(としはる)さん

◇認知症と診断された時、どう思いましたか
トモ子:「うっそー」と思いました。私はとてもおしゃべりだから認知症になるなんて思いもしませんでした。むしろ診断されるまでは「認知症になんてなるものか」と思っていたくらいです。
でも、診断されて、やっぱりショックでした。これからいろいろなことがだんだん分からなくなってしまうのかと思い、診断されてから数日はあまり眠れませんでした。
ただ、悩んでいても自分が認知症である事実は変わらないので、受け入れようと思いました。今は高齢者の5人に1人は認知症になるといわれているので「自分が認知症になってもしょうがないか」と割り切ることにしました。
気持ちが整理できた後、認知症になったことを親しい友人に電話で打ち明けました。「私、認知症なんだって。ぼけるからよろしくね」と伝えると「そっか、それはしょうがないね」と受け入れてくれて、今までと変わらず接してくれました。その時、周りの人に話すことは大切だと感じました。
もしもあなたが認知症で、一人で抱え込んでいるのなら、周りの人に話してみるのがいいかもしれません。一人だけで考えると「私は不幸な星のもとに生まれてしまった」などマイナスなことばかり考えてしまいがちになるので、「私ぼけます!」とみんなに言ったり、相談したりした方が前を向ける気がします。
俊治:妻が認知症と診断されるまでには、前もっていろいろな症状があったので、認知症と診断を受けたこと自体は納得できましたが、ショックは大きかったです。
初めはめまいの症状がひどく、いろいろな病院に行きましたが原因は分かりませんでした。そんな中、日付と曜日が分からなくなったのです。やはりおかしいと思い、再度病院に行くと、認知症と診断されました。まさかめまいの原因が認知症だとは思いもしませんでした。

◇「にりんそうの集い」とはどんな会ですか
トモ子:認知症地域支援推進員さんや認知症サポーターの方、認知症の人とその家族などが月に1回集まっていろいろな活動をしています。
「にりんそうの集い」という名前の由来は、私の家の近くに咲くニリンソウです。ニリンソウという白く小さな花を咲かせる草花をみんなに見てほしいという想いを込めて名付けました。
知り合いに植物関係の学者がいて、その人のおかげで私も野の花に詳しくなりました。そこで、野の花についてみんなに知ってもらいたいと思い、昨年は参加者で野の花を見に行く計画も立てました。最近は、6月にあじさいの花を折り紙などで作るなど、季節に合わせた活動をしています。
「にりんそうの集い」は昨年始めた取り組みで、ありがたいことに参加者がどんどん増えています。
「にりんそうの集い」のおかげで、私は認知症になってからの方が明るくなったと思います。仲間がたくさんいるように感じられてうれしいです。

◇これからの人生、どんなことが楽しみですか
トモ子:これからも「にりんそうの集い」を開催し続けて、みんなで元気に過ごしたいです。そして認知症になった人には、私みたいになれとは言わないけれど、「認知症になっても楽しいことはあるんだよ」と伝え続けたいです。
あと、旅行に行きたいです。夫と二人で腕を組んで歩いて、ほっこり仲の良い夫婦だと思われたいですね。
俊治:昨年は一緒に東北旅行に行きました。認知症になる前も、世界各地に旅行へ行きました。昔旅行で行った場所がテレビに映ると、妻は「ここ昔行ったよね」と楽しそうに話してくれます。
旅行は楽しいですが、平凡で平和な日々を過ごしていければそれだけでもうれしいです。もちろん、ただ家にこもるだけでなく、「にりんそうの集い」などの活動には積極的に参加していきたいです。

◇認知症と診断されて悩んでいる方へ何と声をかけたいですか
トモ子:「みんなでポジティブにいきましょう!」と声をかけたいです。ポジティブになりすぎて騒がしいのもたまにはいいじゃないですか。
他には「自分を大事にしてくれる人を大切にしましょう」と伝えたいです。私でいう夫のような人ですね。
確かに認知症になると不便になることがいろいろありますが、周りの人が認知症であるという事実を知ってくれていると、困った時に助けてくれるのでとても心強いです。恥ずかしがらず周りの人に自分が認知症だと伝えてみてはどうでしょうか。
俊治:ある日突然認知症になるわけではありません。最初はあまり受け入れられないかもしれませんが、少しずつ慣れていくものだと思います。悲観してしまうこともあるかもしれませんが、そこをどう受け止めて、乗り越えるかが重要だと思います。
一人で乗り越えるのはとても大変ですから、周りの人に相談することをおすすめします。家族や友人、同じ境遇の人に相談することで、心が軽くなるのではないでしょうか。
トモ子:認知症の人が地域の活動に当たり前に参加できるくらい、認知症を知ってくれている人が増えると嬉しいですね。私は、これからも楽しみながら人を笑顔にしていきたいです。

◇認知症地域支援推進員からひとこと
富田さんは一言でいうと「ムードメーカー」です。いつも私たちを笑顔にしてくれます。お話も楽しく、過去に富田さんが登壇した認知症講演会も好評で、それがきっかけになって「にりんそうの集い」の参加者がたくさん増えました。
認知症の人の生き生きとした笑顔や前向きな姿は、家族をほっとさせます。そして家族の笑顔や気持ちの余裕は、不安でいっぱいの認知症の人の安心につながります。誰もが希望をもって過ごせるように、自分事として、認知症のことを考えてくれたらうれしいです。

◆誰もが笑顔で過ごせるまちを目指して
認知症になってもすぐに何もできなくなるわけではありません。苦手な事は増えるかもしれませんが、得意な事、好きな事を続けることができます。
前向きに生きていても、認知症の人は「誰かに迷惑をかけてしまう」などの不安を抱えてしまう時があります。家族だけでなく、地域の人も認知症のことを知っていれば、その不安を和らげることができるかもしれません。
認知症の人は自分の得意なことで、地域の人は認知症を知ることで、誰もが笑顔で過ごせるまちになるのではないでしょうか。

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