■はじめに
「10年に一度の豪雨」「経験したことのない台風」という言葉に慣れてしまうほど、近年の気象は異常続きです。原因の一つは温室効果ガス急増による地球温暖化によるものと言われています。
これらの課題に対して、国や企業はもとより、私たち一人ひとりの取り組みが必要となっており、もし、このまま放っておくと、これまで以上に大雨や土砂災害が頻発し、私たちの生活に危険が及ぶことが考えられます。
当町では、令和5年6月1日に「ゼロカーボンシティ宣言」を表明し、更なる地球温暖化対策を進めるため、「江差町地域再エネ導入マスタープラン」「江差町地球温暖化対策実行計画〔区域施策編〕」を策定し、ゼロカーボン達成に向けた取り組みを行っているところです。
今号では環境省補助金「地域脱炭素実現に向けた再エネの最大限導入のための計画づくり支援事業」を活用し、今年度実施した「江差町再生可能エネルギーゾーニング検討協議会報告書の取りまとめ」についてお知らせします。
■事業の経過
町では、地域の景観や自然環境などと調和しながら、再生可能エネルギー(=再エネ)を積極的に推進していくため、検討協議会を設けゾーニングについて議論してきました。
1月29日に開催した第3回目の会議では、これまでの議論をまとめた「ゾーニング報告書」について協議し、この会議を持って事業は完了となりました。
▽ゾーニングマップ作成に向けた主な工程
※この間に、景観調査2回、地域環境情報のヒアリング3回、委員へのヒアリング3回、まちづくり懇話会3回実施
■ゾーニング報告書
報告書では、陸上風力、小型風力、太陽光発電、洋上風力のそれぞれの「ゾーニングマップ」と「環境配慮事項」をまとめました。
このことにより、事業の具体的な検討段階で、地域の懸念事項などを早期段階で事業計画に反映させることができることになります。
▽ゾーニングによるエリア区分のイメージ
※詳しくは本紙をご覧ください。
▽洋上風力発電施設に対する景観検討
基本方針:江差町が有する景観に配慮しつつ、洋上風力発電事業の導入促進を行う
方針1:かもめ島からの景観、かもめ島を含めた景観への配慮を検討する
方針2:町内や近隣町にある陸上風力発電との関係を考慮して、洋上風力発電の導入促進を図る
方針3:最新の知見や事例を参考に、洋上風力発電の導入促進を図る
■ゾーニング検討時の主な議論
・陸上風力ゾーニングマップでは、住宅などからの距離や砂坂海岸林保全の重要性、小型風車への配置場所などが主な議題となり、議論を行いました。
・洋上風力ゾーニングマップでは、漁業やフェリー航路に関する影響に加え、景観が主な議題となりました。
このことから、景観に関する基本方針を示し、3D表現ソフトを使用するなど、議論を行いました。
▽ゾーニングマップ案
※詳しくは本紙をご覧ください。
■検討協議会委員意見
委員からは「景観、騒音など守るところは守り、再エネを適切に推進することで、エネルギーを生産できる町として、人口減の対策や産業の向上に結び付く町としていきたい」という活性化への活用に期待した意見や、学識経験者からは「この度のゾーニングマップは小型風力や景観における環境配慮事項など他の自治体では見られない特徴的なマップとなっている」という独自性を評価した意見や、「景観において、江差の方々が誇れる風景や普段から大切にしている風景が、作成過程において認識することができた。今後も守る景観、創る景観として、ゾーニングマップを活用してほしい」と景観への再認識に向けた意見が出されました。
5か月間という短い期間での検討協議会でしたが、委員、オブザーバーの協力のもと、議論を進めることができました。
■今後のゾーニングマップの活用について
取りまとめた報告書については、令和6年6月末まで公表し、ゾーニングマップに民意を反映し、実効性を持たせるため、6月定例会議会に条例案を提出する予定です。
また、陸上風力では、ゾーニングマップで区分けされたエリアを基に、再エネの促進区域を設定し、適切な導入促進を図っていきます。
洋上風力では、ゾーニング検討協議会での成果を町の意思表明として法定協議会などで活用し、事業着手後も選定事業者との協議・調整実現に向けて活用していきます。
※協議会の内容については、準備が整い次第、町ホームページで更新します
お問い合わせ先:総務課防災生活係
【電話】52-6711
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