■その子らしい育ちを支える
子もの発達が順調か心配、発音がうまくできない、同年齢の子に比べて体の使い方が上手にできていない…。同じことを何度言っても分かってくれない、かんしゃく…。子育ては悩みがつきませんよね。そんなときは巡回相談を利用してみませんか?
●子育てしていて気になることを専門家に相談してみませんか?
浦河町では町内の保育所・認定こども園に通うお子さんを対象とした巡回相談を定期的に行っています。
発達支援の専門家が子どもたちの遊ぶ様子を観察し、運動・感覚面などからより良い子どもたちへの関わり方や、発達などに心配のある児童の保育方法などを園の先生方へアドバイスし、希望される保護者の方には園の先生を交えての面談もしています。
今月号では、巡回相談の仕組みと、実際に巡回相談を受けた保護者の体験談を紹介します。
▽子どもの成長を一緒に悩み考える
社会福祉法人静内ぺテカリ
佐藤 知哉さん
作業療法士・公認心理師
「自分の子が専門家に見られてジャッジされてしまう」「ほかの町から部外者がやってきて自分の子を見られる」など、抵抗感を持たれるかもしれません。ですが、この取り組みを続けてきたことで、最近では園での巡回相談の際に保護者の方と面談で相談しやすい環境ができてきたと実感しています。
どんな子どもにも、成長は保障されています。その子らしい成長を、一緒に悩み考えていくことの一つに巡回相談があります。
浦河町には子育てを支え共に歩んでくれる伴走者(支援者)がたくさんいます。浦河町ならではのとても良い風土だと思います。
今後も巡回相談で回りながら、子育てに悩む皆さんの応援団の一人として仲間に入れてもらえたらと思っていますので、お気軽にご相談ください。
■巡回相談のながれ
▽巡回相談1か月前
園から巡回相談のお手紙を発行
▽巡回相談2週間前
相談申し込みの受付簿に記入し、通園している園の先生に提出
▽巡回相談当日
午前:お子さんの様子を観察
午後:先生方や保護者と面談
▽巡回相談後
保護者の了解を得て保健センターや教育委員会・学校へ情報提供・相談
●子どもの発達支援・相談、保護者の支援・相談
子どもの様子を見たり、一緒に遊びながら発達の状況を把握して相談に乗ることができ、具体的な子どもへの支援の方向性が分かります。
また、保護者の不安や困り感を聞き、発達支援の方向性を提案することで、保護者が楽しい子育てをできるようにサポートします。
●今後の巡回相談の予定
■制度を利用した人の声
○Aさん30代年長のお子さん(当時)
――巡回相談を受けたきっかけは?
巡回相談のことは知っていましたが、発達障害などの診断を受けた子のための相談だと思っていました。
園の先生に子どものことを相談した時に「困っていることがあれば、気軽に相談していいんだよ」と教えてもらい、受けてみました。
――相談した様子を教えてください
巡回相談の申込用紙を書き始めると、子どもの様子や自分の感情などがあふれ、こんなに思っていることがあったんだと驚きました。
相談日を迎え緊張しましたが、顔見知りの方がいたことや、園の先生も同席してくれて、とても話しやすい雰囲気でした。
――気持ちに変化はありましたか?
自分のために時間を取ってくれたことが嬉しく、思っていることを話せたことで気持ちが軽くなりました。生活や子育ては本当に大変で、子どもの将来を考えるとまだ不安は尽きませんが、同じように悩む人がいたら私にも何か支えることができないか、今では前向きな気持ちで過ごせるようになりました。
○Bさん40代年長のお子さん(当時)
――お子さんのことで心配だったことはありますか?
年少の頃から人前に立つと話すことがなく年長でも変化がなく不安になり、似た症状を調べると場ばめんかんもく面緘黙(自分の意志とは関係なく特定の場面で話せない状態)という症状に似ていることが分かりました。
――巡回相談を受けた様子を教えてください
児童精神科の受診までに期間があったので、巡回相談を受けることにしました。小学校に上がってからの生活について、不安に思っていることを話し「お子さんが安心して過ごせる場所を増やしていきましょう」と、ありのままの子どもを応援してくれる環境があることを教えてくれました。
相談後、療育施設に通うようになりました。子どもにとって園は行く場所ですが、療育施設は楽しみな場所となり、施設の先生方の声掛けが子どもの自信につながる様子や就学に向けての相談などもスムーズに進み、巡回相談を受けて良かったと思っています。
問い合わせ:子育て医療課
【電話】26-9002
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