■『8020運動って何?』
~残存歯数と健康寿命~
記 清野智美 歯科衛生士
日本人の平均寿命は、男性81.47歳、女性87.57歳(2022年)で世界有数の長寿国です。しかし、平均寿命は長くなっても歯の寿命はそれに追いついていません。
成人の歯の数は全部で28本(親知らずを含まず)ですが、厚生労働省の「歯科疾患実態調査(2016年)」によると、60歳代で22.75本、80歳ではわずか13.55本にまで減っています。
そこで、平成元年から厚生省と日本歯科医師会は、80歳で20本の歯を保とうという「8020運動」を提唱してきました。当時の8020達成者は10人に1人でしたが、令和4年度には2人に1人と成果がみられます。ちなみに今年度、清水町では4名の高齢者が8020達成者として表彰されています。
なぜ20本かというと、歯が20本あればほとんどの食べ物を噛み砕くことができ、美味しく食べられると言われているからです。食べたいものを美味しく食べるということは、人生において、他の何にも代えがたい楽しみだと思いませんか?
その一方で、40歳以上の8割に歯周病がみられ、高齢になるほどその割合が高いこともわかってきました。歯周病は、歯を支える歯ぐき(歯肉)や骨(歯槽骨)が壊されていく感染症で、生活習慣病のひとつです。日本人の約8割が罹(かか)っていると言われ、歯を失う原因の第1位でもあります。
また、高齢者では残存歯数が少なくなればなるほど、要介護認定を受けやすいという結果が出ています。
「お口は健康の入口」です。80歳になっても自分の歯で美味しく食事をいただき、健康的でアクティブな人生を送るためにも、かかりつけの歯科医院でお口のメンテナンスを受けましょう。
それが「健口」に繋(つな)がります。自分に適した歯のみがき方を歯科医師や歯科衛生士に教えてもらうことこそ、一番の予防法です。そして「しっかり噛むことのできるお口」を目指しましょう。
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