地ビール醸造施設運転再開~10th anniversary~
平成初期に訪れた「地ビールブーム」。滝川市でも平成9年から地ビールの醸造を開始し、「スカイビール」が誕生しましたが、地ビールブームが下火になり、滝川の地ビールも平成17年に醸造を休止。
しかし、滝川のビール造りの灯は消えていませんでした。平成26年、大雪地ビール株式会社が指定管理者となり「滝川クラフトビール工房」として醸造を再開し、今年10周年の節目の年を迎えました。
■クラフトビールは知れば知るほど、もっと楽しく、もっとおいしくなる。まずは、おいしいビールを造る5つの要素を紹介。
「麦芽」
ビールの主原料で、発芽させた大麦麦芽や、小麦麦芽が使われます。ビールの味や香りなど個性の形成に大切な役割を担っています。
「酵母」
麦芽から作られた糖分を分解して、アルコールと炭酸ガスをつくり出します。酵母の特徴によって、ビールの味わいも変わってきます。
「水」
滝川の水は軟水で、淡色系ピルスナーに適しています。水もそのまま使うのではなく、ビールに最適な水質に調整することが大切。
「ホップ」
ビールの魂とも言われるホップ。ホップの産地や種類、量、投入のタイミングはビールの味に大きな影響を与えます。
「副原料」
米やフルーツ、スパイスやハーブなど、副原料もさまざまあります。ビールの味を調整したり、味に特徴を出したりします。
■伝説のホップ「ソラチエース」
上富良野町で生まれ、1984年に品種登録された伝説のホップ「ソラチエース」。ヒノキやレモングラス、ライムのような爽やかな香りが特徴ですが、当時の日本ではあまり受け入れられませんでした。1994年にアメリカに渡ったソラチエースは、2000年代に人気を博し、世界に知られるホップになりました。日本のクラフトビールブームによって、逆輸入の形で日本でも人気となりました。
『空知ピルスナー』は、この伝説のホップをふんだんに使用しています。
■SORACHI WEIZEN 空知ヴァイツェン
大麦麦芽を使用する一般的なビールとは違い、小麦麦芽を主原料とする南ドイツで主流のスタイル。酵母をろ過していない濁りのある「ヘーフヴァイツェン」と呼ばれるタイプです。バナナやクローブ、いちごを思わせるような香りがあり、苦みの少ない飲みやすさが特徴。
■SORACHI ALE 空知エール
イギリスではビールのことを「エール」とも呼び、世界的に愛されているビールのタイプ。空知エールは、アメリカンホップのもつ柑橘系の香りと強い苦みを特徴としつつも、麦芽のほのかな甘みを感じられるペールエールタイプに仕上げています。
■SORACHI PILSNER 空知ピルスナー
大麦麦芽100%で作る「ビールの王道」ともいえるタイプ。日本人にとって一番馴染み深いと言われています。アメリカ産ではありますが、北海道で誕生したホップ「ソラチエース」を使用しており、爽やかでのど越しのよいビールです。
■APPLE and DRY りんごandドライ
滝川産のりんご果汁を原料に使用したフルーツビール。りんご感を引き立てるため発酵直前のタンクへ果汁を投入しています。飲み口はりんごならではの香りと酸味・渋みが爽やかで、後味には程よく甘みを感じられます。
■誰かに話したくなる!ビールの豆知識
普段私たちが飲むビールのほとんどは、その造り方によって「エール」または「ラガー」の2種類に分かれます。
この2つの違いは発酵方法で、「エール」は20度前後の高温で活発に活動するエール酵母で発酵させ、「ラガー」は6~15度前後の低温で活発に活動するラガー酵母で発酵させます。
大手メーカーのビールの多くが「ラガー」に分類され、滝川のクラフトビールでは空知ヴァイツェンと空知エールが「エール」に、空知ピルスナーが「ラガー」に分類されます。
※りんごandドライは発泡酒
■滝川市とクラフトビールの歴史
・1997年5月
滝川初の地ビール「スカイビール」の醸造を開始(ピルスナー・ヴァイツェン)
・2005年3月
消費量の減少により地ビール醸造を休止
・2014年4月
大雪地ビール(株)が地ビール醸造施設の指定管理者となり醸造を開始
・2015年3月
りんごandドライ完成発表会を開催
・2015年5月
空知ヴァイツェン・空知エール・空知ピルスナーが完成し、4種類の商品が揃う
・2015年8月
クラフトビアガーデン初開催
・2015年12月
『フード・アクション・ニッポン・アワード2015』商品部門で「りんご&;ドライ」が入賞
・2018年5月
『全国地ビール品質審査会2018』で「空知ヴァイツェン」が入賞
・2019年1月
『JAPAN BREWERS CUP 2019ペールエール・ゴールデンエール部門』で「空知エール」が4位入賞
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