近年、留寿都村では、農作物が有害鳥獣から被害を受け、深刻な問題となっています。
農業振興を図る上で対策が急務となっていることから、今号では、有害鳥獣被害とその対策に迫ります。
「有害鳥獣」とは、農作物、森林、畜産物、人間の生活環境などに被害を与える野生動物のことです。留寿都村が対策を行う有害鳥獣は、ヒグマ、エゾシカ、アライグマ、タヌキ、ユキウサギ、キツネ、カラス・ハト類などです。村では「留寿都村鳥獣被害防止計画」を定め、有害鳥獣対策強化のため、一般社団法人北海道猟友会倶知安支部留寿都部会へ駆除を委託し組織的な駆除の実施に加えて、村の取組みを実施し、村の基幹産業である農業を守っています。
◆留寿都村の代表的な有害鳥獣
○エゾシカ
特徴:
・本州以南のニホンジカよりも体が大きく、オスの場合、最大で体長190cm、体重150kgに達する
・繁殖能力が高い
・好んで食べるものは豆類やスイートコーンなど
○アライグマ
特徴:
・日本では天敵がいない
・体長40~60cm、体重2~10kg
・繁殖能力が高い
・雑食
・主に夜間に活動
・見た目はかわいいが凶暴
・目の上と鼻の周りが白い
・しましま模様の長いしっぽがある
エゾシカの足跡
農作物の発芽から収穫までの全般において食害・踏害による被害が見られる。
◆留寿都村の農作物被害
農林課では、村内の有害鳥獣による農業被害を把握するため、村内農業者を対象とした被害調査を毎年実施しており、その調査結果を取りまとめ、ホームページに公表しています。中でも、被害が深刻であるエゾシカによる直近5か年の農作物被害をまとめた図表が以下のとおりです。
農作物被害では、全体の8割以上がエゾシカによるものであり、過去5年の合計で、エゾシカによる被害額は6,491万9千円に上っています。
令和元年度から被害額が右肩上がりで増えてきており、令和4年度には過去最大の被害額となりましたが、令和5年度に被害額が大幅に減少しました。これは、猟友会をはじめ、次ページで紹介するエゾシカ捕獲等事業などの取組みにより、エゾシカの捕獲駆除頭数が過去最高を記録し、効果を上げたことによるものと考えられます。
作物別で被害額の多い代表的なものとしては、馬鈴しょ、小豆、人参があります。多くの農作物で被害額は年々増加傾向でしたが、令和5年度は令和4年度に比べてん菜を除く品目で被害額が減少しました。これも、駆除による取組みの効果の表れであると言えますが、エゾシカの繁殖数が多く、今もなお農業被害は続いています。
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