3月に行われた第1回町議会定例会で、西山和夫町長、堂下則昭教育長がそれぞれ令和6年度の執行方針を述べました。
今後のまちづくりの方向性や取組みについてお伝えします。
■はじめに
令和6年第1回知内町議会定例会の開会にあたり、新年度の町行政執行に臨む基本方針と施策を申し述べさせていただきます。
町政の舵取り役として2期目の挑戦がスタートし、早一年が経過しました。今年の新年の幕開けは、石川県能登半島を震源とする最大震度7の強い地震が発生しました。地震の爪痕は一夜明けてくっきりと見えて来ましたが、火災・津波・家屋の倒壊・土砂崩れ・水道管の破裂・電気・ガスの遮断、道路の隆起等による救助活動の遅れなど甚大な被害となりました。被災されたすべての方々に心よりお見舞い申し上げます。
また、被災地域の皆様の安全の確保を心よりお祈りします。また昨年は、北海道において災害級の猛暑にみまわれ農作物や漁業にも甚大な被害をもたらしました。世界でも大規模な山火事や大洪水、干ばつ、日本でも全国平均気温が観測史上最高を記録するなど災害が相次ぐ中、国連の事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が来た」と最大限の表現で危機感をあらわにしております。パリ協定の目標は産業革命時代からの気温上昇を1.5度以内に抑えることでありますが、現状は既に1.1度上昇とあと0.4度しか余裕がない。事務総長は、世界に対してその危機意識を共有していただきたく「地球沸騰時代」と表現したものと思います。
これからは地震と地球沸騰による災害が今後大きな恐怖になるだろうと思います。防災・減災への関心が一層高まる中、今後の地域における強靭化対策の課題の一つに築49年を迎える消防署庁舎の課題があります。消防署は、地域における消防防災のリーダーとして平常時・非常時を問わず、その地域に密着し住民の安心と安全を守るという重要な役割を担っております。消防署の現在地については、洪水による浸水エリアにあるため活動拠点としての機能の発揮に懸念が残るところです。さらには、地震による耐震性能も不足していることが判明し、今後の消防署の在り方について議会・消防関係者と町民の皆さまとの議論も深めて行かなければならないと考えております。
さらに、今後の町の課題である上下水道事業については、施設整備に有利な制度を活用できるよう事業変更する手続きが進められております。手続きが完了次第、水道管改修を進める考えであります。下水道事業については、平成13年の一部供用開始から23年を経過し、今後は維持費の増加や人口減少による収入の減も見込まれることから、一般会計からの繰出金が現在の1.2億円から1.3億円へ増額となる見込みです。
打開策として町ができることから改善し、効率的で持続的な事業運営に向けて整理していくことが先決ではありますが、上下水道料金検討委員会の答申を踏まえて段階的値上げも町民の皆さまにお願いしなければなりません。町のできることをさらに深く議論し課題解決のため知恵を絞ってまいります。
次に、国道228号線中ノ川地区の浸食対策として、町は北海道の支援をいただきながら迂回路整備に着手しております。今年度より測量設計や地質調査に着手し令和10年度の完成を目指します。
また、北海道電力知内発電所が昭和52年に知内町への誘致が決定し、1号機が昭和58年12月より稼働を始め昨年40周年を迎えたことを機に、2024年を起点として、持続可能で効率的なエネルギーの将来を考える勉強会を経産省と北電のご協力のもと3月14日に開催させていただきます。
北海道電力発電所が立地する町として、電力関係者のご協力を得ながら持続可能なエネルギー政策の形成に向けて幅広い視野を持つことが不可欠だろうと考えます。私たちが立ち向かうべき課題は大きく、しかもそれは技術の進化だけでなく社会の価値観や経済の構造にも深く関わるものです。
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