(2)「快適な暮らしの基盤づくり」について
1)快適な暮らしの基盤確保のため、これまでも上下水道事業を安定的に実施して来ましたが、上下水道事業施設の老朽化に伴う修繕等維持費の増加や人口減少による収入の減も見込まれる中、一般会計からの繰出金が増額となる見込みです。
特に下水道事業では、令和4年度に経営改善策として、使用料金の値上げについての検討委員会からの答申があったことから本年度より3カ年間で改定を実施しますが、現在、物価高騰対策を進める中で町民の皆さんに一度にご負担いただくことは難しいと判断し、段階的に町の予算で差額を調整することといたしました。
また、合併浄化槽設置者と下水道利用者との公平性を保つため、負担軽減対策として本年度より法定点検料の一部を助成することとしました。
2)防災対策については、日本海溝と千島海溝沿い巨大地震に関する特別措置法の改正により当町も「特別強化地域」に指定され、今後の防災力強化に向けての事業計画の策定を進めてまいります。
また、洪水時に浸水区域内にある知内消防署については、築49年を迎えており、また、昨年度実施した耐震診断調査の結果、耐震基準を満たしていない箇所が数か所判明したことも踏まえ、今後の消防署の在り方について議会・消防関係者と町民の皆さまとの議論を深め、今後の整備方針等を決定していきたいと考えております。
3)空き家対策については、人口減少に伴い町内でも増加傾向にあり、不良住宅以外の住宅除却についても補助対象としてきましたが、危険空き家については周辺人家に影響が出ることや周辺環境にも配慮が必要となることから、所有者を特定し、適正な管理を促してまいります。また、利用可能な空き家については、取得時の費用の一部を支援してきておりますが継続して支援します。
4)デマンドバスの運行については、昨年9月末で公共交通路線バス小谷石線(小谷石から函館バス知内出張所間)が廃止となったことから、デマンドバスを2台体制として運行してきましたが、利用者は増加傾向にあり地域の足として定着されてきております。今後の人口減少や少子高齢化を踏まえると、デマンドバスの需要は減ることが無いものと思っております。従って利用者ニーズに応じた運行体制の検討と70歳以上の利用者に対しての無料券の配布を継続します。
5)2022年3月にゼロカーボンシティを宣言し、温室効果ガスの排出量削減に向けた各種施策を展開中でありますが、今年度も「ゼロカーボンシティ推進事業」として、家庭における省エネ機器等の導入や太陽光パネル・蓄電池等を設置するなど、省エネルギーに必要な経費を新たに支援します。
また、役場敷地内にソーラーカーポートを設置し、EV及びPHEV車両を導入することで太陽光による公用車の運行と併せ、余剰電力分を中央公民館に供給することにより環境負荷を減らしてまいります。
6)鳥獣害被害防止対策事業については、昨年は夏場の高温による影響なのか熊の出没件数が前年を大きく上回り、市街地での目撃情報が多くなりました。捕獲頭数が増えている現状にあり出動するハンターの皆さんにも大きな負担をかける結果となったことから、緩衝帯整備を進めるとともに捕獲活動事業費の拡大を図ります。
また、児童・生徒に対し熊鈴の配布や各学校に熊スプレーを配置するなど安全対策に取り組みます。
7)子育て世代の定住促進を図るため、町が所有し空家となっている教員住宅等を子育て世代に安価に賃貸として提供する制度を創設するほか、公営住宅の入居基準を緩和する新たな仕組みを導入します。
(3)「福祉・健康・教育・文化の取り組み」について
1)高齢世帯等の冬の除排雪対策の強化については、令和5年度より降雪量の多い湯ノ里地区をモデル地区として湯ノ里有償ボランティアの協力支援をいただいて除排雪対策を実施いたしました。今後も町民の生活環境維持のため、これまでも支援をいただいている知内町社会福祉協議会や各町内会との連携を密にして、より効果のある除排雪対策の実施に向けて積極的に取組んでまいります。
2)高齢者等の生活環境の向上については、昨年度より65歳以上の高齢者世帯を対象とした水洗トイレ改修費用の一部を補助しましたが、本年も継続して実施します。また、本年度より65歳以上の高齢者世帯を対象に「省エネエアコンの導入」支援を実施し、夏場の猛暑対策の環境を整えます。
3)障がい者支援については、町内の農業をはじめとする各産業分野での人手不足解消や障がい者の活躍する仕組みを検討して来ましたが、今後も社会福祉法人あすなろ福祉会と連携し、障がい者の就労の場の確保に繋がる取組みを進めてまいります。
4)予防接種事業については、新型コロナウイルス感染症対策としてワクチン接種が本年度より有料となることから、インフルエンザ予防接種と合わせた支援および実施体制を整理します。
また、昨年度より新たな予防接種事業として実施した50歳以上を対象の帯状疱疹予防接種事業と北海道電力の協力により実現した「がんリスク検査」を本年度も継続して実施します。
5)介護保険事業の運営については、2000年に介護保険制度が創設されサービスの充実が図られていますが、本年から令和9年3月までの3年間の第9期計画がスタートします。人口減少や高齢化が進む中「いつまでも住み慣れた地域で、元気に共に暮らすまち」を目指して必要なサービスを提供していくほか、介護保険料については、保有している基金を取り崩して個々の保険料を軽減する措置を講じます。
認知症に関しては、相談件数の増加や若年化の傾向を踏まえて予防対策を充実させるほか、介護予防に関しても生活機能低下の早期発見や相談体制の充実を図ってまいります。
また、介護人材の確保・育成と離職防止を図るため、町内の介護・福祉事業所や学校、団体、行政機関が連携した協議会を設立し、課題解決に向けた取組みを一元的に推進してまいります。
6)次年度は、涌元小学校と知内小学校が統合となり、涌元小学校は今年度末で歴史に幕を閉じることになりますが地域と共にあるかけがえのない「心の拠りどころ」として、学校関係者は勿論地域・保護者一体となって学校運営にあたっていただいたことに感謝を申し上げ、更なる教育行政の充実と発展のため努力してまいります。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>