脂肪肝に気をつけて
美唄市医師会・中野記嗣
脂肪肝には過剰の飲酒によるアルコール性脂肪肝ASHと、少量あるいは全く飲まないのに起きる非アルコール性脂肪肝NAFLDがあります。
NAFLDは日本で約2,000万人程度の有病率(約20%)と推測され、近年の食生活の欧米化に伴い炭水化物と脂肪分のとりすぎ、更には運動不足から肝臓や皮下組織、腸間膜への脂肪が蓄積し、炎症反応が持続(約20%肝炎の状態)、肝細胞が繊維に置き換わり肝硬変(約15%)肝がん(約2%)へ至りうる病気です。
肝臓は「沈黙の臓器」と言われれるように症状が現れにくい臓器です。そのため脂肪肝になっても症状は殆どありません。しかし、病気が進行し肝硬変に至ると疲れやすい、だるい、食欲がないといった症状が現れ、更に進めば黄疸や腹水、肝性脳症などの症状がみられるようになります。
症状が乏しいため、気付かないうちに病気が進行してしまうケースも少なくありません。早期発見のためには、無症状でも定期的な健康診断を受け、自分の肝臓の状態を把握しておくことが大切です。もし脂肪肝を指摘された場合には、病院を受診して、精密な検査や生活改善の指導を受けるようにしましょう。
治療の第一選択は、糖尿や高脂血症といった生活習慣病と同様に食事療法と運動療法の併用です。脂肪肝の原因となっているアルコール、炭水化物、脂肪分のとりすぎを是正しかつ週3回1回1時間程度の有酸素運動を組みあわせることにより、体重を7~10%減少させると脂肪肝が改善したとする報告がありますので、是非ご参考にして頂ければと思います。
(執筆者紹介/北海道せき損センター内科第二部長)
<この記事についてアンケートにご協力ください。>