性的マイノリティ(性的少数者)の総称で「LGBTQ」という言葉があります。性的指向や心の性の英語表記の頭文字をとって組み合わせた言葉です。
最近まで、世の中には男性と女性の2つの性別しかないと認識されていました。しかし、一人ひとりの考え方や姿などが異なるように、性もたった2つに分けられるほど単純ではありません。
「男らしく」「女らしく」と言ったことや言われたことがあるでしょうか。そしてこの言葉に傷つく人がいるかもしれないと想像したことはありますか。
社会にはいろいろな人が生きています。戸籍の性と心の性が一致せず、違和感を持つ人。同姓だけを好きになる人。その違いが理解されず、生きずらさを感じている人もいます。性のあり方について「あなたの当たり前」は「誰かの当たり前」ではないかもしれません。
一人ひとりの顔や性格が違うように、性のあり方も全ての人に関係するものであり、他の人から強制されたり、奪われたりするものではありません。
今月号では、性のあり方について考えてみましょう。
○Lesbian(レズビアン)
こころの性が女性で、好きになる性も女性の人
○Gay(ゲイ)
こころの性が男性で、好きになる性も男性の人
○Bisexual(バイセクシュアル)
好きになる性が、異性の場合も同性の場合もある人
○Transgender(トランスジェンダー)
からだの性とこころの性が一致しない人
○Questioning(クエスチョニング)
好きになる性やこころの性がわからず決められない、あるいは悩んでいる人
◆ステップ1 多様な性を知ろう
性は「男性」「女性」だけではありません。
人の数だけ存在します。
性のあり方は多様です。生まれたときに割り当てられた性別(からだの性)だけで区別できるものではなく、性自認(こころの性)や性的指向、性表現は人それぞれです。
性の多様性を正しく理解するには、性は「4つの要素から成り立っていることを知る必要があります。
4つの要素の組み合わせや表れ方は一人ひとり異なり、性のあり方はグラデーションです。
・要素(1)戸籍の性
戸籍上の性別は男女のどちらか
・要素(2)性的指向
恋愛感情や性的な関心がどの性別に向いているか
・要素(3)性自認
自分の性別をどう認識しているか
・要素(4)性表現
服装やしぐさなど自分の性をどう表現しているか
▽覚えておきたい性の多様性に関する用語
・セクシュアリティ…性(体の性、社会的・文化的な性、性自認、性的指向、性別表現)
・性的指向…恋愛・性愛がどういう対象に向かうかを示すもの。異性愛、同性愛、両性愛など
・性自認…自分の性をどのように認識しているのかということ。心の性
・SOGI(ソジ)…性的指向と性自認のこと(Sexuali Orientation and Gender Identity)
・ALLY(アライ)…性的マイノリティを理解し、支援する人のこと
・カミングアウト…自分の秘密を打ち明けること
・アウティング…本人の了解を得ずに、他の人に秘密を暴露すること
・ジェンダーバイアス…性差に関する固定概念、それに基づく差別・偏見・行動
▽4つの性のあり方
・心の性…「自分は女だ/男だ」など個人が自認する性別(性自認)
・好きになる性…恋愛感情や性的欲求が主にどの性別に向いているか示すもの(性的指向)
・表現する性…言葉遣いやしぐさ、服装など個人が表現する性
・体の性…性染色体、内外性器の形状など客観的な事実をもとに識別した性(戸籍の性)
◆ステップ2 できることからはじめよう
学校・職場・家庭・地域など、日常生活のさまざまな場面において、LGBTQの方が身近にいることを知り、これまでの意識を見直してみましょう。
一人ひとりができることからはじめることで、誰もが気持ちよく暮らせるまちにつながります。
(1)差別的な言動をしない
自身のこれまでの性に対する認識や日頃の言動を振り返り、偏見や先入観がないか見つめ直しましょう。
(2)本人の了解なく周囲に伝えない
本人の了解なく性的指向や性自認について、周囲に伝えてはいけません。本人が何を望み、何に困っているかなど、十分に確認しましょう。
(3)性別を限定する言葉に気を付ける
(例)
彼氏/彼女→恋人・パートナー
お父さん/お母さん→保護者の方
○○君/○○ちゃん→○○さん
(4)そっと注意しよう
誰かが差別的な言動をしていたら、そっと注意しましょう。周りに合わせて一緒に笑ったり、同調したりしてはいけません。差別的な言動から当事者を守ることが大切です。
▽ALLY(アライ)になろう
アライとは、英語で「同盟」「味方」を表す言葉で、性的マイノリティを理解し、支援する人・支援したい人のことです。何か特別な行動をしなければならないわけではありません。性的マイノリティについて知り、理解しようとすることが大切です。
▽カミングアウトを受けたら
どうしてほしいのか、相手に寄り添って聞いてあげましょう。自分以外の人に打ち明けている人がいないか聞いておくことで、アウティングを防ぐことができます。「打ち明けてくれてありがとう」など、話してくれたことに対する感謝を伝えましょう。否定的な言葉掛けやからかうことはやめましょう。
◆性のあり方で差別やいじめを受けるのは人権の侵害です
悩みは抱えずにご相談ください。
○町の相談窓口
(1)人権擁護委員による悩み心配事相談(月1回開設)
町民活動課広報相談グループ
【電話】77-6538
(2)こころの健康相談(月1回開設)
保健福祉課健康推進グループ
【電話】77-6544/77-6545
(3)教育相談室
トレーニングセンター2階
【電話】73-5833
○そのほかの相談窓口
(1)よりそいホットライン
【電話】0120-279-338
SNSチャット 困りごと情報提供
(2)LINE相談
にじいろtalk-talk
(3)常設人権相談所
【電話】0157-23-6166
平日8:30~17:15
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