教育長鷲下正彦
1.はじめに
令和6年第1回鷹栖町議会定例会の開会にあたり、鷹栖町教育委員会の所管行政の執行に関し主要な方針を申し上げ、町議会議員並びに町民の皆さんのご理解とご協力をお願い申し上げます。
新型コロナウイルス感染症は、3年にわたり日常生活をはじめ教育活動にも大きな影響を与えてきました。
感染が拡大する間、様々な困難に直面しましたが、教育現場においてもデジタル化を加速させながら、学びの在り方を変容させ新たな時代に対応してきました。
VUCA(※1)の時代とも呼ばれる「予測困難な時代」において、次代を担う子どもたちが「持続可能な社会の創り手」として成長していくことが必要であり、そのために必要な資質・能力を育んでいくことが求められています。
また、ウェルビーイング(※2)の考え方が重視されており、社会教育だけではなく、学校教育においてもウェルビーイングの向上を図ることも求められています。
鷹栖町教育委員会としましては、こうした社会動向を見極めながら、「子どもたちの学びの充実」、「ライフステージやニーズに応じた学びの場の充実」、「気軽にスポーツが楽しめる環境の充実」などに努め、学校教育と社会教育を両輪として、教育行政を推進してまいります。
(※1)Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとって「VUCA」と呼ばれる。
(※2)身体的・精神的・社会的に良い状態にあることをいい、短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義など将来にわたる持続的な幸福を含む。
2.学校教育の推進
はじめに、学校教育について申し上げます。
新学習指導要領の下、「生きて働く知識・技能」、「未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力」、「学びを人生や社会に生かそうとする、学びに向かう力・人間性」等の資質・能力の着実な育成を目指し、学校・家庭・地域が協働連携しながら、教育活動の推進に努めてまいります。
■学力の向上
全国学力・学習状況調査における本町の児童生徒の傾向を踏まえ、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた学習指導の改善を図りながら、基礎的・基本的な学力の定着に努めるとともに、各校に配置する学習支援員を効果的に活用し、チームティーチングによる個別指導や習熟度別指導など、児童生徒の実態に応じたきめ細かな指導の充実を図り、確かな学力を育ててまいります。
また、学力の補充・深化を図るため、放課後の学習機会を充実させるとともに、土曜学習教室「がんばるど」を継続して開催し、学習意欲の向上や学習習慣の定着を図ります。
さらに、教職員が自主的に計画する研修活動を支援し、自ら先進地視察や講師を招いた研修会を行うことで、時代の変化に沿ったスキルを身に着けるとともに、学びを深めて質の高い教育環境を整備してまいります。
■ICT教育
GIGAスクール構想により整備した一人一台端末や電子黒板をはじめ、学習支援ソフトやデジタル教科書などを一体的に活用し、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の充実に取り組んでまいります。
情報技術を学習や日常生活で適切に活用できる情報モラルを含めた情報活用能力の育成と、ICTサポートスタッフを配置し、授業での円滑な利活用に対する支援を行います。
■外国語教育
外国語教育の目標は、コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を育成することです。英語発音力やコミュニケーション能力、国際理解力の向上のため、外国語指導助手(ALT)を継続して2名配置いたします。
小中学校への授業支援を主軸としながら、幼稚園、保育園への訪問をはじめ、鷹栖高等学校やななかまど大学、地域児童クラブとも連携し、英語でコミュニケーションを図る環境を創出してまいります。また、英語検定受検料の半額補助を継続して実施し、英語力及び学習意欲の向上に努めてまいります。
■地域に開かれた学校
子どもたちの健やかな成長と心豊かな未来のためには、ともに支え合いながら、人を思いやる心、命や自然を大切にする心、ふるさとを愛する心などを育成することが大切です。
授業の中でも、地域の人やものと積極的に関わりを持ちながら、鷹栖の魅力を更に学ぶことができる「鷹栖版ふるさと共育」を推進し、学校・家庭・地域が教育の目標を共有し、課題に対して協働で対応するなど、「地域とともにある学校づくり」の実現を目指してまいります。
■特別支援教育
特別支援教育については、一人ひとりの教育的ニーズに応じ、児童生徒の個性を尊重しながら、適切な指導と支援を行うため、中学校へ特別支援教育支援員を増員するとともに、特別な支援が必要な児童生徒の進級・進学に向け、家庭・学校・関係機関と連携のもと、継続した支援や適切な教育環境の確保に努めてまいります。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>