◆「然別火山群のオパール産地」の文化財指定について
鹿追町役場の広報マン(企画課広報広聴係)が気になる〝人〟〝モノ〟〝イベント〟などにスポットを当て、深く掘り下げてご紹介する「掘り下げ隊が行く」。
今回は、北海道石で話題の鉱物産地、『然別火山群のオパール産地』が町の文化財に指定されたことについて、ジオパーク推進課の髙井宏行課長と教育委員会 社会教育課の平山宏照課長に詳しくお話を伺いました。
・今日は鹿追町で発見された『北海道石』について詳しく教えてください。今年、北海道石のニュースが大きく取り上げられましたが、そもそも北海道石とはどういったものですか?
髙井課長(以下 髙井):北海道石は、今年新種の鉱物として国際鉱物学連合によって承認・登録された鉱物で、鹿追町と北海道内の愛別町で発見されました。鹿追の北海道石はオパールに含まれる形で発見されています。
鹿追のオパールについては、10年ほど前に調査研究が行われ、紫外線をあてると黄色や緑色の蛍光色に光ることが発見されました。
そして昨年、別の研究者グループによってさらに調査研究が行われ、蛍光発光するものの中からこれまで未確認の鉱物が発見されました。それが『北海道石』です。
・色も鮮やかで、ネーミングもキャッチーですよね。多くの人を魅了しそうです。
平山課長(以下 平山):北海道石を含むオパールの産地はとても狭い範囲にしかありませんが、これまでたびたび盗掘の被害にあってきました。
鹿追町はジオパーク認定地として貴重な自然遺産を保護・保全し次の世代につなぐことを大事にしています。貴重な鉱物産地を守るために、『然別火山群のオパール産地』を町として指定文化財に位置づけました。
・指定文化財とはあまり耳慣れない言葉ですが、どのようなものですか?
平山:指定文化財とは、工芸品など有形のものや伝統芸能など無形のものといった文化的な価値の高いもの、景色など芸術上、鑑賞上価値の高いもの、動植物や地質鉱物など学術的に価値の高いもののうち、国や都道府県、市町村などが指定したものです。
・ふむふむ。その土地に根ざした価値の高いものということですね。鹿追町にはどんな指定文化財があるんですか?
平山:鹿追町ではこれまでに、白蛇姫舞、北海道拓殖鉄道蒸気機関車、拓殖鉄道と河西鉄道の交差橋台跡の3つの文化財が町指定文化財となっています。
・つまり、今回で4つ目の町指定文化財になるということですね。
「オパールの産地」という響きはなんだかとても希少な感じがします。
平山:オパール自体は日本国内でも産出される場所はあります。しかし、蛍光するオパール、特に産地全体が光るという例は今のところ他では見つかっていません。
また、今後の新発見も期待されることから学術的に非常に価値の高い場所だと考えています。
・これからも新しい発見がありそうで楽しみです。
髙井:どんどん新しいことがわかってきています。研究者の方からは、北海道石は石油の生成の仕組みを理解するカギになるかもしれない、と伺っています。
鹿追からさらに世界的な発見があるかもしれませんね。
・それだけすごい鉱物が発見されたとなると、保全の問題がありますよね。どのような対策をされていますか?
髙井:産地の保護は重要な課題です。監視カメラを設置して見回り体制も強化しています。
また、保護の観点から立ち入り規制を行っており、許可なき採掘は法律や条例違反になります。
・登山中に間違って入ってしまうことはありませんか?
髙井:近くに登山道はありませんので安心してください。
・インターネットのオークションサイトでの取引もあると聞きましたが。
髙井:インターネットオークションで取引されるものの大半が違法行為によって採掘されたものと思われますので、そのように疑わしいものは買わないでください。
実物を見たいという方は、ジオパークビジターセンターで展示していて、職員によって解説も行われていますので、ぜひ足をお運びください。ちなみに毎週火曜日が休館日となっています。祝日の場合は翌日が休館日です。
・ぜひ実物を見に、ビジターセンターに行ってみたいと思います。本日はありがとうございました。
髙井:こちらこそ、今後の保護・保全や周知にご協力ください。ありがとうございました。
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